「たった一人の社員の行動」で判断するのはもったいない

「緊急事態宣言の最中、テレワーク中の社員がなんと沖縄旅行に行っていた!」

若い男がビーチでラップトップ
写真=iStock.com/Nadezhda1906
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こんな事実が発覚したら、あなたはどう思いますか? これは、とある大手企業で実際にあった事例です。その企業は「やはりテレワークはダメだ」ということで、全員出社することが基本方針となったそうです。何千人もの社員がまた満員電車をつくる原因になってしまったと思うと残念で仕方ありません。

そもそも、テレワークは何のために始めたのか。仕事の目的は何なのか。テレワークをやってみて、良かった点と改善点が必ずあったはずです。個人レベルから組織、社会レベルでも、思いがけないメリットとデメリットがあったに違いありません。それを客観的に振り返らずに、一人の社員の一見常識がないと思われるような事例で、「やっぱりテレワークはダメだ」と、結論づけるのはもったいないことです。

サボる人は、出勤してもサボる

内勤でも外出が多い仕事でも、仕事をサボる人はどうやってでもサボります。また、一生懸命働いても成果が出にくい人もいます。テレワークで仕事をすることにより、できる人にはよりスポットライトがあたり、できない人やサボっている人もある程度浮き彫りになったのではないでしょうか。

今までの近くで管理職が見ている環境ならば、何となく平等に評価されているような気もしますし、周囲の人が頑張っているのか頑張っていないのかは、なんとなく見えていました。それが、テレワークになった瞬間、仕事のアウトプットがすべてになりました。今まで仕事ができると思っていた人がそうでもなかったとか、仕事ができないと思っていた人が実は裏方として仕事を支えていた、などと職場の人を見る目が変わったかもしれません。

多くの企業では、緊急事態宣言を受けて、突然テレワークを始めました。組織も働く側も、何が許されて何が悪いのかという基準がなく、正解は手探りだったのではないでしょうか。

そこで、大切なのは「3つのR」を可視化すること。「ルール(Rule)・ルート(Route)・リスク(Risk)」という3つの要素です。