💡いまオンライン会議の進化が加速している

会議のオンライン化が進むなか、各種のバーチャル・イベントも再考の必要を迫られている。オフラインの代替案として仕方なくオンラインを選ぶのではなく、むしろこの選択肢をチャンスだと捉えられるよう、前向きに考えることもできるだろう。
私たちはどうやって、いつ、なぜ集まるのかについての見直しを余儀なくされているのだ。バーチャル会議に関する最新の状況を振り返ってみよう。

🤔振り返る5つのヒント

1️ 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のなか、1兆ドル規模の会議業界は競って自己改革に取り組んでいる。
2️ 会議の主催者たちはZoom(ズーム)会議の枠を超え、バーチャル・イベントを開催する新たな方法を試している。
3️ 毎年恒例のカンファレンスの代わりに8週間のバーチャル・イベントを開催することにしたTEDの例が示しているとおり、チャレンジも大きければチャンスも大きい。
4 この変化により、プレゼンテーションをどのように作成・演出すべきかについて助言を行う「専門家」が大勢出現している。
5️ 直接顔を合わせる形での会議はいずれ戻ってくるだろう。だが現在オンラインで行われている各種の実験的取り組みが、その形を決定づけることになるだろう。

📝 詳しく考えてみよう

1️ 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のなか、1兆ドル規模の会議業界は競って自己改革に取り組んでいる。
春は特に仕事上の会議が多い時期だが、今年は世界的なパンデミックのために会議業界がオンライン化を余儀なくされている。
優れたバーチャル会議を開催するためには、単に会日の場所や内容をインターネット上に移せばいいというものではない。
そしてこの認識が、会議業界の新たな急成長を促している。オンラインでの話し方については、専門家たちが「Zoomの理想的な背景画像」や「オンライン会議にいかにして信頼性をもたらすか」などについてのヒントを提供。
複数のスタートアップ企業が、Zoomに代わるオンライン会議用プラットフォームを売り込んでいる。
バーチャル会議などの場でイリュージョンを披露する専門のマジシャンまでいるというから驚きだ。
2️ 会議の主催者たちはバーチャル・イベントの新たな開催方法を試している。
ニューヨーク市がロックダウン(都市封鎖)されたことを受けて、女性向けフード・ライフスタイル雑誌「チェリーボム(Cherry Bombe)」の創業者であるケリー・ダイアモンドは大胆なアイデアを思いついた。
1日がかりのカンファレンスを行うのに、インスタグラムをその主な開催場所とするというアイデアだ。
4月の最初の週末、彼女は「チェリーボム・ジュビリー」を開催。参加者には、インスタグラムのさまざまなアカウントを訪れるよう案内した。
パンやお菓子づくりのデモストレーションを見るには、料理本の著者@jessiesheehanbakesのアカウントに。家庭料理についてチャットしたいなら、料理番組『Barefoot Contessa(裸足の伯爵夫人)』に出演している@inagartenのアカウントに。
伝説の「変装」レストラン評論家@ruth.reichlのアカウントでは本を読む試みを行った。ダイアモンドは、バーチャル・イベントの形式を新たに発明している会議主催者のひとりだ。
3️ TEDの例が示すように、チャレンジも大きいがチャンスも大きい。
TEDは先月、かなり独創的な前提を導入した。「自宅のリビングルームで8週間にわたるカンファレンスに参加」という前提だ。
TEDのキュレーターであるクリス・アンダーソンは、TEDカンファレンスとは具体的に何のために行うのかを再考した結果、このアイデアが浮かんだと語る。
「TEDが重視しているのはアイデアの共有、そしてコミュニティーの構築だ。誰も自宅から出られない時でも、インターネットのお陰でこのどちらも実現が可能だ」と彼は説明する。
だがオンラインで実施された5時間に及ぶ「前段階の」イベントは、技術トラブルやぎこちないコラボレーションに悩まされた。
4️ この変化により、プレゼンテーションをどのように作成・演出すべきかについて助言を行う「専門家」が大勢出現している。
仕事に関するバーチャル会議をどのように開催すべきか、これまでに提示されている助言の中から優れたものを集めてみた。
まずは専門用語を覚えること。たとえば「Brady Bunch view(ギャラリービュー)」はZoomの設定のこと。
1970年代の同名の米シットコム番組のオープニング・クレジットに由来する呼び方で、参加者全員が画面上に表示される設定だ(用語集はこちら)。
準備段階では、プレゼンは短く、スライドはシンプルで読みやすいものにするよう心掛けよう。背景も少し時間をかけて選んでみよう──必ずしも本棚にする必要はない!
プレゼンをする際は立って、そして何よりも自信を持ってやろう。
「自分がうまくやっていると思ってやること」と、プレゼンのコーチングサービスなどを提供するデュアルテ(Duarte)の講師、メーガン・スティーブンスは言う。
5️ いまオンラインで行われている試験的な取り組みが今後の対面型イベントの形を決定づけることになる
会議の主催者たちは、将来人が集まる機会が戻ってきた時のために現状を中止している。
ジョージア工科大学インタラクティブ・コンピューティング学部のブレア・マッキンタイア教授は、たとえばバーチャルリアリティや3Dユーザーインターフェイスを扱う国際会議IEEEがオンライン開催されたことが、より多様性を受け入れ、環境に責任を持つ方法での学術会議を開催する上での可能性を示唆していると指摘する。
今後はリスクを負い、人間関係に通じた、実験的な、そしてテクノロジーを支持する人々によって、会議の開催についての新たな作戦が生み出されていくことになるだろう。
バーチャル・イベントなどを手掛ける企業360 Live Media(360ライブメディア)の創業者ドン・ニールは「強い企業はその地位を維持し続けるだろう。それ以外の企業は、生き抜くために新たなスキルを磨いていかなければならないだろう」と語った。
元の記事はこちら(英語)。
(執筆:Quartz Staff、翻訳:森美歩、バナーデザイン:月森恭助)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.