[香港 25日 ロイター] - 中国は25日、同国が実弾演習を行う飛行禁止区域に米軍のU2偵察機が侵入したとして、米国に強く抗議した。

中国がこれまでも米国の監視活動を非難する一方、米国は中国航空機による「危険な」妨害活動を指摘してきた。監視活動は定期的に行われるが、中国が公言することは珍しい。

中国国防省は、実弾演習を行っていた人民解放軍北部戦区の飛行禁止区域でU2偵察機が許可なく飛行し、「正常な演習訓練活動を著しく妨害した」と指摘。誤解や判断ミス、海空での「不測の事態」を引き起こしかねないと非難した。米国が海空の行動に関する米中間のルールや国際的な基準に反していると主張し、「この種の挑発行動を即刻停止し、実際の行動で地域の平和と安定を守るよう要求する」と強調した。

これに対し、米軍は声明で、U2偵察機の飛行はインド太平洋地域で行われており、「航空機の飛行に関する国際ルールと規則で認められた範囲内」との認識を表明。「太平洋空軍は今後も、国際法で認められた場所でわれわれが選んだ時間に飛行と任務を続けていく」とした。

U2偵察機は7万フィート(約2万1000メートル)以上の高高度で飛行できるため、飛行禁止区域に入ることなく偵察活動を行うことは可能。中国はU2偵察機が侵入した場所を具体的に明らかにしていないが、現在の演習は渤海で行っている。また、黄海と南シナ海でも演習中。

米中は、貿易から人権までさまざまな問題で関係が悪化している。米国はまた、領有権を巡る対立が続く南シナ海や中国が自国の領土の一部と主張する台湾に関して中国軍が攻撃的な動きを取っていると主張する。

2001年4月には中国の戦闘機が米偵察機と接触し墜落。中国の操縦士は死亡し、米機は海南島に緊急着陸した。米国側の乗務員24人は米国が中国に謝罪するまで11日間拘束された。

*内容を追加します。