[ワシントン 24日 ロイター] - ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン米財務長官は、中国の劉鶴副首相と電話会談し、米中通商合意の「第1段階」を履行する決意を再確認した。これを受けて25日の金融市場では懸念が後退した。

両国の正式協議は5月初旬以来で、市場では米中間の最近の対立激化が通商合意の履行を危うくするとの懸念が強まっていた。

USTRは声明で「双方が進展があったと認識し、合意の成功を確実にするため必要な措置を取ることにコミットしている」とした。定期的な電話協議だったと説明した。

電話会談は当初、8月15日に行われる予定だった。

中国商務省も別の声明で、米中が「建設的な対話」を行い、第1段階の合意の履行を引き続き推進することで一致したと明らかにした。

USTRの声明は米中両国が「知的財産権保護や金融サービス・農業分野における米企業への規制撤廃、強制的な技術移転の禁止など、通商合意に盛り込まれた構造改革に向けて中国がこれまで取ってきた措置について議論した」とした上で「中国による米産品購入の大幅な拡大と、合意の実施に向け将来的に必要とされる措置についても議論した」とした。

電話会談のニュースを受けてアジアの株式市場は上昇。

シドニーの農産品ブローカー、IKONコモディティーズの幹部は「トランプ大統領は大統領選の追い風になる良いニュースを切望しているため、米中協議は大半のコモディティーにとって強気材料だ」と述べた。

公式データによると、中国の対米輸入の拡大ペースは、通商合意が定める1年目に770億ドル増の目標を達成できる水準にはない。

中国は最近になって大豆を含む米農産品の購入を増やしているが、通商合意の365億ドルの購入目標からはほど遠い。トランプ氏は2016年の大統領選で自身を支持した農業州にアピールするため、中国による購入に期待を寄せている。

ある中国国有企業の農産物トレーダーはロイターに、米国側は「中国が少なくとも米選挙までは米国からの購入を継続するとの認識を示しており、中国は実際に購入を続けるだろう」と指摘。「可能な限り購入する姿勢を維持するのは確実だが、目標が達成できるかどうかを予想するのは難しい」とした。

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