【横浜FC】「複雑というか難しいですね」クラブ初のJ1連勝も下平監督が語る理想と現実

カテゴリ:Jリーグ

須賀大輔

2020年08月20日

「まだまだ物足りないところが多い」

「チーム力が上がってきているのかな」と語る下平監督。写真:徳原隆元

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[J1リーグ11節]横浜FC1-0鹿島/8月19日(水)/ニッパツ三ツ沢球技場

 内容だけを見れば5連敗中のゲームの方が良かった。

 決定力不足にこそ泣いていたが、GKを含めて最終ラインからビルドアップの入口を作り、フリーマンを探しながらボールを前進させ、中央で構えるボランチの佐藤謙介が的確に配る。ボールを握りながら攻めることで自分たちの時間を多く作り、あとはそこに結果が付いてくればという段階にまで来ていた。

 その最たる例が前節・湘南戦だ。20分までに4ゴールを奪うゴールショーに下平隆宏監督は「今までよい形は作れてもなかなか点が入らなかったところでの4得点。1つの結果として4点取れたことは選手も自信になった」と表情を崩した。

 しかし、この鹿島戦では序盤からミスが目立ちビルドアップがままならない。同じくボールを握ることにトライしながらもミスを連発する鹿島との間をボールが行ったり来たりする展開が続いた。それでも25分に生まれた皆川佑介の今季初ゴールで先手を奪うと、その虎の子の1点を守り切り、今季初の連勝を飾った。

【動画】攻め込まれながらも今季初のクリーンシート!横浜FC対鹿島のハイライト
 
 サッカーとは面白いもので内容が良いのに勝てない試合があれば、この日のように自分たちのやりたいことがほとんど表現できない中でも勝てる試合があるもの。この勝点3が持つ価値を問われた下平監督は少し戸惑いながら言葉を並べた。

「複雑というか難しいですね。内容的には全然良くなかった。自分たちが目指しているサッカーでいうと、当然、まだまだ物足りないところが多い。そういった意味ではまだまだ課題が残っている」

 ただ、その上で選手たちの頑張り、勝ちへの意欲を称え、こうも続ける。

「5連敗してきて、ここからは勝利が必要という中でこういう苦しいゲームを勝ち切れた。相手との力関係もあって、(シーズン中に何試合か)絶対に苦しいゲームがあると思うけど、こういうゲームを勝ち切れたことでチーム力が上がってきているのかなと感じます」

 その背景にあるのは昨季の最終ラインを支えた伊野波雅彦とカルフィン・ヨンアピンの復帰だった。2人揃ってリーグ戦のメンバーに戻ってきたガンバ大阪戦から4バックにシステムを戻しチームに安定感が備わった。「彼ら2人で十分に守れる」と指揮官が確かな信頼を寄せる両CBが中央を固めることで守備の強度が高まり、不用意な失点が減りつつある。

 高き理想を掲げながらも勝てない時期を経験し、ようやく勝点3を掴めるようになってきた横浜FC。内容は良くないながらも耐え凌ぎ、最後は5バックで守り切る現実的な戦いを披露できるようになった事実は、チーム力が高まってきた証と言えるだろう。

 これからも横浜FCは理想と現実の両方を追いかけながらシーズンを戦っていく――。

取材・文●須賀大輔(フリーライター)
 
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