[20日 ロイター] - 米労働省が20日発表した15日までの週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は110万6000件と、前週の97万1000件(上方改定)から増加し、再び100万件を超えた。増加は3週ぶりで、労働市場の回復の鈍さが浮き彫りになった。

ロイターがまとめたエコノミスト予想では92万5000件への減少が見込まれていた。4週間移動平均では117万5750件だった。前週は米国で新型コロナウイルスの流行が始まってから初めて100万件を下回った。

ジェフリーズのエコノミストは調査リポートで、失業保険申請の増加は残念だが、7月下旬と比較すれば、なお32万5000件減少していると指摘。その上で「失業給付を週600ドル加算する特例措置が失効し、南部州がコロナ感染の急増から回復する中、今後数週間の統計で労働市場の最近の回復が基調的なものか、それとも技術的なものかはっきりするだろう」と述べた。

8日までの週の失業保険受給総数は1484万4000件に減少し、4月以来の低水準。前週は1548万件だった。エコノミスト予想は1500万件。1日までの週に失業手当を受けていた人は2806万人で、前週から約20万人減少したものの、減少幅は前週の約300万人からは大きく鈍化した。

オックスフォード・エコノミクスの米国担当主任エコノミスト、ナンシー・バンデンフーテン氏は「労働市場が健全な状態に戻るのはかなり先の話だ」と述べた。

トランプ大統領は8日、失業保険給付の上乗せなどに関する大統領令に署名したが、実施を巡って混乱も生じている。上乗せ額は週400ドルと、従来から200ドル少ない。このうち100ドルは州の負担となるが、多くの州は負担する余裕がないと表明している。また残りの300ドルは政府の災害救援基金から拠出されるが、専門家によると早ければ9月にも資金が枯渇する恐れもあるという。

前出のバンデンフーテン氏は、全米で7州しか追加給付の支払いが認められていないとした。

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