[モスクワ 20日 ロイター] - ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(44)がシベリアの病院で重体に陥っている。報道担当者がソーシャルメディアで明らかにした。

同氏は毒を盛られた可能性があり、集中治療室で人工呼吸器を付けているという。

「紅茶に何かが入れられたと考えている。朝に彼が飲んだのはそれだけだった。医師は、温かな液体を通じで毒が速く吸収されたと述べている。今は意識がない状態だ」と語った。

ナワリヌイ氏はプーチン大統領批判の急先鋒。19日朝、シベリアのトムスクからモスクワに移動中の飛行機内で体調不良を訴えた。

同氏は搭乗前に空港のカフェで紅茶を飲んだ。カフェのオーナーは現在防犯カメラの映像を確認中だという。

飛行機は緊急着陸し、ナワリヌイ氏は病院に緊急搬送された。

同担当者は毒を入れたとする人物の心当たりを明かしていないが、警察が病院に呼ばれたとしている。

ただ病院のある医師は、毒を盛られたかどうかは確かでないと指摘。「自然毒」が診断候補の1つとされており、検査が行われていることを明らかにした。

弁護士のナワリヌイ氏は反汚職活動家で、反政権デモを組織したとして何度か投獄されている。

ロシアでは来月地方選挙が予定されており、同氏は仲間とともに支援する候補者の支持拡大に向け活動していた。

また、ロシア極東で繰り広げられている反政府デモでは、旧ソ連のベラルーシで続いている大規模な反政権デモへの支持を表すスローガンが一部で叫ばれている。

欧州連合(EU)のある外交関係者は「プーチン大統領は恐れている」とし、「国民に対し、テレビで見ているベラルーシでの行動を真似しないようメッセージを送っている」と分析した。

トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に、米政府として状況を精査していると説明。

オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はナワリヌイ氏が毒物を盛られた可能性は「極めて憂慮すべき事態」だと指摘した。同補佐官はFOXニュースのインタビューに対し「ロシアが関与したならば、今後はそれを踏まえてロシアに対応することになる」とした。

ナワリヌイ氏の容体に関し、医師らはさまざまな見方を示しており、安定したという所見がある一方で、昏睡状態にあるとも指摘されている。

ドイツとフランスは同氏に治療を提供する考えを表明した。

ベルリンが拠点のシネマ・フォー・ピース財団は、20日夜にナワリヌイ氏を搬送するための輸送機が、昏睡状態の患者を専門とする医師団を乗せて、同国を出発すると発表した。

*内容を追加しました。