[バンコク 17日 ロイター] - タイ国家経済社会開発評議会(NESDC)が17日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比12.2%減と、1998年のアジア通貨危機以来22年ぶりの大幅な落ち込みとなった。新型コロナウイルスの世界的流行と感染を抑える行動制限で、観光業や輸出、国内経済活動が打撃を受けた。政府は今年の成長率予想を引き下げ、追加景気対策を打ち出す方針を示した。

マイナス幅はロイター調査の予想(13.3%減)より小幅にとどまった。第1・四半期は2.0%減(改定値)だった。

季節調整済み前期比はマイナス9.7%で過去最大の下げ幅。エコノミスト予想はマイナス11.4%だった。

スパタナポン副首相は会見で、「経済と(新型コロナの)影響を受けている人々を支援するため」今月中に追加景気対策を発表する方針で、19日に追加対策について協議すると述べた。

NESDCは今年の成長率予想をマイナス7.3─7.8%と、従来予想のマイナス5─6%から引き下げ、輸出見通しも8%減から10%減に下方修正した。

NESDCの代表、Thosaporn Sirisumphand氏は別の会見で「明確な景気回復はワクチンができてからで、来年半ばを想定している」と述べた。

カシコン銀行の資本市場調査担当責任者、コブシジチ・シルパチャイ氏は「国内外での総需要の崩壊」が浮き彫りになったと指摘。「需要と供給面へのショックは記憶に残っている限りでは最も厳しいため、回復には時間を要するだろう」とした。

タイ当局は新型コロナの市中感染が2カ月余り報告されなかったのを受け、大半の行動制限を解除している。しかし、海外からの旅客便乗り入れの制限と世界的な需要の低迷が引き続き同国経済に悪影響を及ぼしている。

同国を訪問した外国人観光客は6月まで3カ月連続でゼロだった。NESDCは今年同国を訪れる外国観光客は670万人と、前年に記録した過去最高の3980万人から83%急減すると見込む。

タイ政府は総額1兆9000億バーツ(610億3000万ドル)の財政刺激策を打ち出し、中央銀行は年初からこれまでに政策金利を75ベーシスポイント(bp)引き下げ、過去最低の0.50%としたが、景気の大幅悪化は避けられなかった。

アナリストは、封鎖措置と渡航制限が国内の消費と投資に引き続き影響を与える見通しで、反政府デモが一段のリスクをもたらしていると指摘。世界的な需要低迷で輸出も低調な状況が続くとみる。

*閣僚の発言を追加しました