2020/8/17

【解説】ミレニアルの貯蓄熱が米経済への「脅威」になる理由

The New York Times
若者の夢は、FRBの悪夢
「ミレニアル世代は怠け者と言われている。早く退職して、それが正しいことを証明しよう」昨年の夏、全米の15の主要都市に、こんなフレーズが書かれた看板が登場した。
投資会社プルデンシャルの広告に打ち出されたこの感覚こそ、30歳の若者が夢見るファンタジーだ。一方で、FRB(連邦準備理事会)にとっては悪夢といえる。
積極的に貯蓄に励む若い世代の影響で、中央銀行による金利引き下げの余地はますます狭まるかもしれない。利下げは長年、経済成長を後押しするために、不況時に実施されてきた手法だ。
若いうちに労働市場から脱出するには、ミレニアル世代は巨額の老後資金を用意しなくてはならず、その過程で消費を抑えるだろう。
そのことが需要に打撃を与えれば、経済成長は鈍化する。すると、消費を促すためにさらなる利下げを実施せざるを得なくなる。
さらに、現時点で労働力の主力である世代がリタイアしてしまえば、労働人口が不足し、経済の潜在力はさらに圧迫されることになるだろう。
ミレニアル世代(現在の24~39歳あたり)は著しい物価上昇を経験したことがなく、インフレ期待が成人以上のどの世代よりも低い。
この世代は、物価は上がらないものと信じているため、企業は価格や料金を上げづらくなり、結果的に物価上昇が鈍化する可能性がある。
FRBの政策金利はインフレを念頭に置いているため、インフレ期待が下に振れると、利下げの余地はさらに狭まる。
ミレニアルの貯蓄熱はFRBの頭痛の種(Mark Wilson/Getty Images)
早期退職ブームで金利が下がる