2020/8/15

【直撃】30代で会社を卒業。「FIRE」という生き方

NewsPicks編集部
ここ数年来、アメリカのミレニアル世代を中心に流行している「FIREムーブメント」。
FIREとは "Financial Independence, Retire Early" の略語で、キャリアの早期から資産を蓄積し、適切に運用するとともに、生活費を極小まで切り詰めることで「経済的独立」を達成し、若年での退職を目指すという動きだ。
写真:istock/Charday Penn
元々、カナダ出身のブロガー、ピーター・アデニーが運営する「Mr. Money Mustache」が火付け役となったこの動き。
2018年ごろからは「The New York Times」「The Wall Street Journal」をはじめとする伝統メディアでも本格的に報じられるようになり、「新しいライフスタイル」として脚光を浴びたり、再現性に疑問符が投げかけられたりと、論争の的になっている。
日本でも2019年末から今年にかけて、関連本が相次いで3冊出版されるなど、認知が広がりつつある。
そこで今回の特集では、「FIREムーブメント」のオモテとウラを描くべく、日本人実践者の肉声、資産運用のプロが語るFIREの実現性、経済全体に与えている影響を取り上げる。
第1回は「日本版FIRE」の先駆けとされる、ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」管理人の穂高唯希氏に、ゴールに至るまでの具体的なプロセスと、退職後の生活について尋ねた。
INDEX
✅なぜ経済的独立を目指したのか
✅「高配当株への投資」を選んだ理由
✅コロナ後の投資戦略の変化
✅株高が続くIT銘柄への見解
✅個別株か?ETFか?
✅おすすめのETFとは
✅支出を抑える具体的な方法
✅30歳、金融資産7000万円までの道筋
✅FIREを決断したタイミング
✅目指す上で、もっとも大切な考え方

早くから「人生の有限性」を実感

──穂高さんは新卒で大企業に就職し、サラリーマンとして勤務した後、30歳で経済的独立を達成して退職されました。FIREを果たそうと思ったきっかけをお聞かせください。
元々私は、自由な校風の中学・高校の中で、我が道を行く個性的な友人がたくさんいる環境で育ちました。
大学時代には中国に留学し、「30代で留学に来ている人」「ほどほどの労働をしつつ探究を深めている人」など、日本人の一般的とされてきたキャリアとは全く異なる、さまざまな人たちと出会いました。
写真:istock/Dawid Kalisinski Photography
また、子供のころに父を亡くしました。その結果、母は一生懸命働き、大変なことも多かったと思いますが、「周りの人に恵まれたから、それほどでもなかった」と今は言います。
だから私は、早くから人生の有限性を実感するとともに、「自由に生きるためには、経済的な支えが必要だ」という思いを持っていたのです。