1日に会議に費やす時間の合計は12%減った

新型コロナウイルスの感染拡大以降、大勢の人がリモートワークに移行したことで、企業で働く人々はさまざまな問題を抱えるようになった。
だが少なくとも1つ、明るい材料がある。データによれば、会議はいい方向に変化を遂げているようだ。
全米経済研究所(NBER)の新たな調査報告によれば、会議にかかる時間の平均は20%短くなっている。
同研究所は、労働者たちが今年に入って新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)下に置かれて以降、デジタル・コミュニケーションがどのように変化したかを調査。
その結果、平均的な人が1日に出席する会議の数は13%増えたが、1日に会議に費やす時間の合計は12%減ったことが分かった。
つまりZoom(ズーム)時代となった今、私たちはこれまで以上に多くの会議に出席しているかもしれないが、それらの会議の効率性はアップしているようなのだ。
調査報告(まだ査読は行われていない)は北米、ヨーロッパと中東で働く300万人以上のメールと会議に関するメタデータを使用して、政府によるロックダウンの8週間前と8週間後を比較した。
するとロックダウン以降、会議の平均出席者数は増えていることが分かった。これはもしかしたら、これまでオフィスで個人同士のやり取りによって伝達されていた可能性のある情報を、広く伝達する必要性が生じたことを反映しているのかもしれない。
報告書の著者たちは、リモートの環境においてはこれまでよりも簡潔な、より頻繁な会議が「新たな計画を迅速に伝達したり、どの仕事が達成されたかという情報を共有したり、説明責任を向上させたり、優先順位を調整したり、支援を提供したり、これまでオフィス環境において非公式に対処されてきたその他の目的を達成したりするのに役立つ可能性がある」と示唆している。
さらに会議を取り仕切る側の人々が、会議室に人を集めるよりもバーチャル環境の方が、労働者の集中力がもつ時間が短いことを認識している可能性もある。

勤務時間は長くなる傾向も

会議に関する調査結果は比較的明るいものだが、リモートワークへの移行がもたらしたより幅広い影響については懸念材料もある。
平均的な就業日の勤務時間が約50分長くなっており、報告書の著者たちはその理由の一部として、業務時間後に送信されるメールの数が増えていることを挙げている。
報告書には、「ロックダウン後の全ての週について、ロックダウン前の8週間のどの週よりも平均労働時間が長かった」と書かれている。
これは必ずしも悪いことではない。報告書の著者たちは、勤務時間が長くなったのは、従業員たちがフレックス制を活用していることを反映している可能性があると指摘する。
途中で運動する時間や子どもと過ごす時間を取っているために、勤務終了時間が遅くなっているのかもしれない。
そして見逃せないポイントとして、「リモート時代においてはオフィスと自宅の明確な線引きがないために、働きすぎになりやすいことも事実だ」と指摘し、動向をさらに注視している。
元の記事はこちら(英語)。
(執筆:Sarah Todd、翻訳:森美歩、バナーデザイン:月森恭助)
2019年11月より「Quartz Japan」が立ち上がりました。日本語で届くニュースレターについて詳細はこちらから
© 2020 Quartz Media, Inc.
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.