[ニューヨーク/ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領が署名した中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)との取引を禁じる大統領令により、米国内のアップストアでのティックトックのアプリ提供が止まり、ティックトックのプラットフォーム上の広告展開は違法となる可能性がある。ロイターが入手した米ホワイトハウスの資料で明らかになった。

トランプ氏は先週、ティックトックの親会社バイトダンスが45日以内に米部門売却で合意できなければ、米国企業と米国人が同社と45日後から取引できなくなる大統領令に署名した。商務省がどのような取引を禁じるかを決めるとしているが、具体的にどのような取引が対象になるのかは明らかになっていない。

一方、ホワイトハウスの資料によると、禁止される取引として、アップストア上でティックトックのアプリを提供することへの合意やティックトック上での広告購入、ティックトックアプリをユーザー端末にダウンロードするためのサービス利用規約の承諾などが挙げられている。

ホワイトハウスの資料に詳しい関係者は、この資料の信頼性を確認している。ティックトックは、現時点でコメントの要請に応じていない。

ハイテク業界に詳しい専門家の一部は、アップル<AAPL.O>とグーグルの親会社アルファベット<GOOGL.O>が自社アプリストアでティックトックを提供できなくなれば、ティックトックの成長が損なわれると指摘する。

あるサイバーセキュリティーの専門家は「ティックトックは米国で存続できなくなる」と指摘し「米国での成長を望んでいるなら、こうしたルールは大きな障害になる」との見方を示した。

ただ、米政府は、国民が海外のサイトからティックトックのアプリをダウンロードすることまでは制限できないかもしれない、と指摘した。

アップルとアルファベットからのコメントは得られていない。

トランプ氏の大統領令は、対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営する中国の騰訊控股(テンセント)<0700.HK>との取引も禁止する方針だが、ロイターが入手したホワイトハウス資料は、米政府がウィーチャットをティックトックと同じように取り締まるかどうかについては明確にしていない。

ティックトックは10代を中心に人気があり、米国内のアクティブユーザーは約1億人。米国のユーザーデータは米国とシンガポールで安全に保管されており、ユーザー情報を中国政府に提出することはないと主張し、大統領令を巡り提訴の可能性を示している。