2020/8/13

【決算ウォッチ】JR・私鉄大手「全社赤字」の衝撃

湯浅 大輝
NewsPicks編集部 記者
日本の交通インフラを支える鉄道業界に「異常事態」が起きている。
各社はこれまで堅実な経営を続けていたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、大きな転換点を迎えている。
8月12日、東急と近鉄グループホールディングスの決算が発表され、上場するJR4社と、関東と関西の私鉄・地下鉄6社の4〜6月の決算が出そろった。
コロナによって人々の移動が制限され、リモートワークが浸透したことで、10社とも営業赤字に転落する「歴史的な決算」となった。
鉄道業界は今後、どうなるのか。長年業界を取材する鉄道ジャーナリストの梅原淳氏の解説とともに、5つの独自グラフで分析する。

JR設立以来初の「赤字決算」

まず、JR4社の2021年3月期第1四半期(4~6月)の決算を見ていこう。
売上高で最大の鉄道会社であるJR東日本は、4〜6月の3カ月間の売上高が3329億円と、前の年の同じ時期に比べて半減(55.2%減)した。
本業のもうけを示す営業損益は1783億円の赤字となった。
また、東海道新幹線がメイン事業のJR東海は、売上高が前年同期比72.7%減少し、1287億円まで落ち込んだ。
私鉄・地下鉄各社も、コロナによる人の移動の制限の影響を受けて苦しい決算内容となった。売り上げはいずれも前年比で30〜40%減少するという厳しい結果となった。
東京メトロも、売上高が前年同期比43%減の628億円で、営業損益は164億円の赤字となった。