(ブルームバーグ): 米アクティビストファンドのRMBキャピタルは11日、伊藤忠商事が実施中のファミリーマートに対する株式公開買い付け(TOB)の価格が安過ぎるとして反対を表明すると発表した。伊藤忠に対し、買い付け価格を現行の1株当たり2300円から、新型コロナウイルス感染症の拡大前に計画していた2600円に引き上げることを求めている。

発表資料によると、RMBは親会社が上場子会社を買収する際に少数株主に不利な買収となることを防ぐため少数株主側に立った公正な形での実現を促す政府の指針を引き合いに、通常より細やかに利益相反を回避すべきと主張。ファミマなどが取得した株価算定書が開示されないなど、少数株主が応募の可否を判断するのに十分な開示が行われていないと批判している。

ファミマの発表資料によると、伊藤忠は3月2日付で、ファミマに対し1株2600円でTOBを実施し完全子会社化することを正式に提案。しかし、その後にコロナ禍で将来的な事業の見通しが不透明になったことから、最終的には買い付け価格を2300円とした。

RMBは、伊藤忠はコロナ禍による一時的な業績悪化、株価下落を逆手にとって提案価格を引き下げたと指摘。現在の買い付け価格では買い手のみが満足し、将来にわたって禍根を残す恐れがあると非難している。伊藤忠はファミマの50.1%を保有する親会社。RMBは伊藤忠、ファミマ両方の株式を保有している。

RMBが求める買い付け価格2600円は、TOBに当たってファミマ側が委託した専門家による企業価値の算定価格幅2472-3040円の下限を上回っており、ファミマ取締役会が少数株主に応募推奨することが可能になるなどとしている。現在、ファミマ側はTOBに賛同しつつ、価格が低いことを理由に「応募するか否かは株主の判断に任せる」との意見を表明している。

ファミマの株価は7月のTOB発表直後に急騰し、2300円を上回って推移している。これに対し、伊藤忠側は今月5日、TOB価格を引き上げる意向はなく、不成立なら親子上場を維持する方針を表明。7日には香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントが買い付け価格が安過ぎるとし、ファミマに対し1株当たり最大1062円の特別配当を要求している。11日のファミマ株は一時、前営業日比0.7%高の2335円を付けた。

伊藤忠、ファミマの広報担当者にコメントを求めたが現時点で回答は得られていない。

(正式発表を受けて記事を更新します)

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