[ベルリン 10日 ロイター] - ドイツ社会民主党(SPD)は10日、2021年に行われる総選挙に向け、次期首相候補にSPDで最も支持の高いショルツ財務相を指名した。首相を4期務めたメルケル首相は総選挙で引退することになっている。

ショルツ財務相は昨年、SPDの党首選で左派の2人に敗れた。今回首相候補に擁立されたことは、ショルツ氏の勢力が復活したことを示す。SPDはメルケル氏所属の中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)が主導する連立与党の一角を担う。

ショルツ氏はツイッターで「正式になった」と投稿。「党幹部は全会一致で私を首相候補に指名した。楽しく公平で成功を収める選挙活動を待ち望んでいる」と述べた。

CDUの首相候補はまだ明らかになっていない。05年以来首相を務めてきたメルケル首相は21年の総選挙に出馬しないと表明している。

厳しい挑戦がショルツ氏を待ち受ける。何十年もCDUと連立を組んできたSPDは02年以降総選挙に勝利したことがない。今は支持率が大半の世論調査でCDUと緑の党からかけ離れた3位に低迷している。

ショルツ氏は、メルケル首相、CDU党首の後継者として有力視されているシュパーン保健相に続き、3番目に支持率が高い政治家だ。SPDは、新型コロナウイルス禍で緊縮財政から大規模な経済刺激策を導入した積極財政へと転換したショルツ氏が21年の総選挙で党の支持を上げることを期待している。

SPDのシュレーダー前首相はハンデルスブラット紙に対して「ショルツ氏の指名は適切な時期に良い決断だった」と述べた。シュレーダー氏は05年に退任して以降、最近のSPD党首を厳しく批判してきた。

SPDの共同党首を務めるエスケン氏とワルターボーヤンス氏がショルツ氏を指名した。

ワルターボーヤンス氏は9日、緑の党とともに、旧東ドイツの共産主義政党が前身である左翼党と連立を組むことも選択肢とすると述べた。かつては想像できなかった発言に、SPDを待ち受ける厳しい状況を認識したコメントだとの声も上がった。