夜中のデート中に「ひらめいた」 PCR開発者の正直でやんちゃな人生
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PCR検査という言葉を聞かない日はない。目に見えないDNAやRNAの構造を短時間に可視化する方法として開発され、新型コロナウイルスの特定だけでなく、医学や犯罪捜査、考古学などさまざまな分野に応用されている。そんな画期的なシステムを開発した人物の素顔は、日本ではあまり知られていない。研究一筋の堅物と思いきや、実はそうではない。【砂間裕之】
開発したのは、昨年8月7日に74歳で亡くなった米国の生化学者、キャリー・マリスさん。PCR法の開発により、1993年にノーベル化学賞を受賞した。私が取材したのは、授賞式を控えた同年11月。マリスさんが極秘で訪問した大阪の製薬会社に「あいさつだけさせてほしい」とお願いし、10分程度の約束で面会した。
PCRそのものは医療取材で知っていたが、なにせ英語も専門用語も分からない。せっかく世界的な人物に会えるのに、あいさつだけではもったいない。知り合いの奈良県立医大産科婦人科の斎藤滋講師(現富山大学長)に通訳と解説を頼むと、「えっ、あのPCRのマリス先生? 同席していいの」と声が弾んだ。一線の研究者が興奮するほど、業界のスーパースターだった。
気さくなカリフォルニアのサーファー
ところが調べてみると、その素顔は意外や意外。カリフォルニアの中年サーファーで、無類の女性好きとして知られ、PCRの仕組みを突然思いついたのも夜中のデート中だったという。「んっ ほんとにすごい人?」。半信半疑で製薬会社に向かった。
会ってみると、おしゃべり好きでとても気さくな印象だ。まずは、当時話題になっていた映画「ジュラシック・パーク」について聞いてみた。琥珀(こはく)に閉じ込められた蚊の血液に残る恐竜のDNAをPCRで増幅し、恐竜を再生させる--奇想天外なストーリーの根幹となったのが、マリスさんのPCRだった。「開発者として、ジュラシック・パークを実現できると思うか」と尋ねると、開口一番「映画は見たよ。理論的には近い将来、恐竜は復活できる」と断言。ところが、そのあ…
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