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【村上臣】僕の英語が、最近「褒められる」ようになった理由
GSET | NewsPicks Brand Design
2020/8/7
グローバル化が進む今、個人のキャリアを考えると、英語力の必要性は言うまでもない。しかし、限られたネイティブスピーカー以外で、英語力に100%自信があると宣言できるビジネスパーソンは決して多くないだろう。2017年にヤフー執行役員からリンクトイン日本代表へと転身を果たした村上臣氏も、初の外資系企業での挑戦を前に「英語が本当に不安でした」と当時を振り返る。
そんな村上氏が、今、自身の英語力を根本から見直すメソッドとして取り組んでいるのが「GSET(旧English for Everyone)」だ。同社独自のトレーニングでは、「発声法」「音」「リズム」「英語思考」の4つの視点から英語力を合理的に鍛え、最短距離でどこでも通じる“世界標準英語”の習得を目指す。
今回は、「通じる英語の習得は簡単です」と語るGSET是枝代表と村上氏の対話から、通じる英語力を身につけることの価値と、英語力が切り拓くキャリアの可能性を探る。
そんな村上氏が、今、自身の英語力を根本から見直すメソッドとして取り組んでいるのが「GSET(旧English for Everyone)」だ。同社独自のトレーニングでは、「発声法」「音」「リズム」「英語思考」の4つの視点から英語力を合理的に鍛え、最短距離でどこでも通じる“世界標準英語”の習得を目指す。
今回は、「通じる英語の習得は簡単です」と語るGSET是枝代表と村上氏の対話から、通じる英語力を身につけることの価値と、英語力が切り拓くキャリアの可能性を探る。
大事な局面で「通じない」ストレス
──村上さんは現在、「GSET」のトレーニングを受けられているとお聞きしました。英語に対して、どんな課題意識があったのですか。
村上 40歳のとき、米国に本社を置くリンクトインの日本代表を務めることになりました。僕は、それまで海外滞在経験もなく、外資カルチャーでの挑戦も初。上司が日本語を話せない環境も、海外の本社にコミットするのもすべてはじめての経験で、英語については本当に不安でした。
そもそも僕に与えられたミッションは、日本のビジネスがわからない人たちに向けて英語で説明し、理解してもらいながら、リンクトインの事業を前進させること。これはコミュニケーションに支障がなくても難しいことですが、今の語学力で大丈夫だろうか、と。
最終面接では本社CEOに、「自分の英語力で問題ないか」と念を押して確認したほど(笑)。実際、最初の半年はかなりつらかったです。
2年半経った今、ようやく日常業務では不安なくやり取りができるようになりましたが、「ここぞ」という重要な局面になればなるほど、英語力がネックになる場面がある。それが大きなストレスでした。
是枝 私も商社勤務時代は、海外と英語でシビアな交渉をしていたので、よくわかります。通じる英語じゃないと、まず同じビジネスの土俵に上がれないんですよね。
村上 そうなんです。とくに、相手が乗り気じゃない提案をするときに、英語が「通じない」のは、すごくビハインドです。
朝倉氏が語る、課題意識に共感
村上 そんな課題意識を感じていたときに、NewsPicksの記事で朝倉(祐介)さんがまさに同じことを言っているのを目にしたんです。
「相手がこちらに興味・関心がない状態では、通じることが最低限の土台であり、(英語力は)死活問題だ」と。朝倉さん、いいこと言ってるなあ、その通りだよって(笑)。
それでGSETのメソッドをチェックしてみたら、自分がこれまで経験した英語学習とはアプローチがまったく違っていて、その手法がロジカルに説明されていた。
朝倉氏の記事公開時に、村上氏が寄せたコメント
そうか、これまで「発声法」や「発音」はちゃんと学んだことがなかったな、と。すごく納得感があったので、すぐ体験に申し込み、入会を決めました。
是枝 私たちのメソッドの本質をご理解いただいていて、ありがたいです。村上さんはこれまで、どのように英語を学んでこられたのですか。
村上 エンジニア出身なので、英語のドキュメントを読むことやチャットベースの英語コミュニケーションは日常的でした。
基本的な英会話は、大学時代の毎晩のクラブ通いで覚えましたね。渋谷・六本木のストリート仕込みです(笑)。
英語で「損」する必要はない
村上 ヤフー時代も、ソフトバンク関連の事業も含めて海外パートナーとのやり取りを担当していたので、英語に触れる機会は多かった。しかし、今考えてみると、あくまで先方にとって僕は「お客さんの立場」。そこが今とは決定的に違います。
相手がこちらの言うことを熱心に聞き取ろうとしてくれるし、僕が理解できるまで何度も説明してくれる。そんな環境にいたので、「意外と通じるじゃん」という感覚になっていた。
是枝 それが「売り込む側の立場」になると、まったく通じていなかったんだ、と愕然とするわけですね。
村上 そうなんです。捕まえて説得しようにも、「お前は何を言っているかわからないから、次!」みたいに相手に逃げ道を与えてしまう。
自分の英語はまったくダメだと最初に痛感したのは、ニケシュ・アローラがヤフーの会長としてやってきたときです。彼から矢継ぎ早に説明を求められ、必死に話しても、全然わかってもらえない。ニケシュに通じるように話せなくてはまずいと、本格的に英語に取り組み始め、トレーニングも組んでもらっていました。
是枝 私も過去に同じような経験を何度もしました。商談に乗り込んでいったら「何、その英語」と露骨に失望した表情をされたり、英語であいさつすると急に先方のシニアメンバーが退席することになったり。
英語はたかが「ツール」ですが、そのツールのせいで、私のような「損」をしてほしくない。GSETのメソッドは、私が20年近くあらゆる手段で英語を学び、それでも通じないという壁にぶち当たったことで作り出したものです。
「発声法」「音」「リズム」「英語思考」この4つの技術を身につけるだけで、英語力が劇的に変わることは、私自身の体験としても実感しています。
「GSET」は、通じる英語に必要なスキルセットをロジカルに分析。独自のトレーニングでアプローチする
ビジネスのスピードを止めるな
村上 今、僕はリンクトイン本社のエグゼクティブとやり取りする機会も多いのですが、彼らはアメリカはもちろん、グローバルでもトップエリートです。当然、ビジネススキルも非常に高い。
過去に経験がないほど鋭い視点から核心をつく質問がいくつも飛んでくるなんて、しょっちゅうです。
言語の問題を抜きにしても、自分の能力との大きなギャップに圧倒されるわけで、日本からメジャーリーグに挑戦する野球選手の気持ちってこんな感じなんだろうなと思います。
是枝 剛速球に対し、同じスピード感を持って英語で答えていかないといけないわけですよね。
村上 その通りです。日本語で考えて、それを英語に翻訳するなんてことをやっていては、まったく追いつきません。クリティカルな局面になればなるほど、英語力のような本質的ではないことに意識を持っていかれるのは、リスクでしかない。
通じない英語は、ビジネス効率を格段に落とします。スムーズに通じれば10秒ですむことが、聞き返されたり言い直したりして3分かかるわけです。
一方で、事業のスピードは絶対に落とせません。お互いストレスがたまるし、細かいニュアンスが通じていないことが致命傷になりかねない。
たとえば、オンライン会議をしていてネットの回線が不安定でとぎれとぎれだと、内容をよく理解できないですよね。
そのストレスをなくすためにWi-Fi環境を整えるのと同じで、通じる英語を身につけることはコミュニケーションの基本だと実感しています。
通じる英語は「発声法」から
──Wi-Fiのたとえは、とてもわかりやすいですね。GSETのレッスンは簡単な英単語を読み上げるなど、ごくシンプルなトレーニングを繰り返すところから始まります。実際にやってみていかがでしたか。
村上 GSETでは、毎日の課題を提出すると次の日に「ネイティブにはどう聞こえているか」という的確なフィードバックがあります。さらに週1回のレッスンで、実際の口の動きや発声などをくわしく指導してくれる。
僕は筋トレが大好きなのですが、トレーニングを効率的に行うためには正しいフォームをきちんと身につけて、体に覚え込ますことが大事。それと同じだと思いました。このループはすごく理にかなっている。
是枝 ご理解の通りです。通じる音を無意識に出せるようになるためには、頭ではなく体に覚え込ませる必要があります。
また興味深いことに、そもそも英語と日本語は声の出し方がまったく違うんです。
一般的に日本語は口先や鼻に近い位置で声を出しますが、英語は喉や胸から発声するようにできているので、日本語の発声法のままだとすぐに壁にぶつかってしまう。
声は先天性のものと思われがちですが、訓練すれば後天的に変えることができます。
このように根本からアプローチしてはじめて、「英語に聞こえない英語」から「正しい英語」に変わるのです。
村上 そうそう。喉発声は、ボーカルのテクニックに通じるところがあります。僕はずっと音楽をやっていたので、GSETのメソッドを音楽に置き換えて考えると、とてもわかりやすかった。
ただ、英語を喉から発声するのははじめてなので、今、絶賛、筋トレ中です。
是枝 さすが鋭いですね。喉から発声するトレーニングは、まさにプロのボーカルと一緒に作り上げました。
日本人は普段、ほとんど喉を使って喋らないので、喉発声の習得には少し時間がかかりますが、トレーニングをすれば誰もができるようになります。一度習得すると、オン・オフの切り替えも簡単です。
これを体に定着させれば、もう二度と“日本語英語”が口から出てくることはありません。
村上 実は最近、社内で英語が上手くなったと、言われることが増えたんです。本社CEOのエグゼクティブアシスタントからも、「シンの英語がすごく聞きやすくなったけど、何かしているの?」と聞かれるほど。
取材はZoomで実施した。GSETのトレーニングも現在はオンラインで受講できる
さらにスピーキングだけでなく、英語を聞けるようになった実感もあります。自分が出せない音は聞こえない、これは本当なんだなと。
最近、英語のPodcastをよく聞くのですが、GSETを始めて3カ月目くらいから聞き取れる言葉の量がすごく増えました。Netflixでも字幕を見なくても半分は理解できるようになった。
「お、見える世界が変わりはじめたぞ!」と。
理由としては、音の聞き分けができるようになった効果が大きいと感じています。「L」と「R」がカタカナではなく、違う音として聞こえるので、音と英語のスペルが一致するんです。カタカナを通さないで学ぶことが、すごく重要なんだと気づきました。
カタカナ英語は「穴のあいたスーツ」
──日本の英語学習では、カタカナ英語でもまずたくさん話せばいい、コミュニケーションに高度なスキルは必要ないという風潮もあります。
是枝 過去、私も同じ考えでしたので気持ちは本当によくわかります。ですが、そのアプローチには、「聞き手が理解できるかどうか」への配慮が足りないと思います。
数年前、あるバラエティ番組でおもしろい実験を見ました。喫茶店でアイスコーヒーを注文する際に「アイスモーヒー」とか「ナイスコーチ」とか「愛想笑い」とか、わざと間違った言い方をして、店員がアイスコーヒーと理解できるのはどのラインかをおもしろおかしく検証していたのですが、カタカナ英語はまさにこれに近い。
重要なビジネスの場面で「アイスモーヒー」や「ナイスコーチ」みたいなことを真顔で言っていたら、相手が汲み取れるケースもあるかもしれませんが、内心「この人、大丈夫かな」と不安に思われてしまう。
カタカナ英語でがんばるのは、わざわざ穴のあいたスーツで大事な商談に臨むようなもの。積極的に取る必要はまったくないリスクです。
また一般的に、自国語なまりの強い英語に対して、聞き手は無意識に“uneducated”や“unintelligent”といった評価を下してしまうという研究結果も数多くあります。
村上 発音をカタカナで覚えるのは、本当に悪手ですよね。日本語は母音が少ないからと、英語で「ア」っぽく聞こえる音を、全部カタカナの「ア」に置き換えたことがすべての敗因。
英語の音と日本語の音は、我々が思っている以上に別物である、と最初に教えるべきです。
そもそも、英語のネイティブスピーカーは世界の20%程度。我々はネイティブではない英語を聞くほうが圧倒的に多い。それでも、日本人のカタカナ英語が通じず、中国人の英語やシンガポールのシングリッシュが海外で受け入れられやすいのは、アクセントや強弱など重要なポイントが押さえられているから。
それに比べて日本語は、文法も発音も英語との距離がすごく遠い。
是枝 おっしゃる通りです。言語間の距離は確実に存在します。日本人にとっての不幸の始まりは、英語と日本語がまったく違うスキルを必要とする点にありますが、この距離は技術の習得で埋められます。
我々は、4月に社名を「GSET」と変えましたが、これは我々が提供する価値を再定義して導き出したもの。
いつでもどこでも誰とでも通じる「世界標準英語を鍛える(Global Standard English Training)」ことが我々のミッションです。
今、怖いのは「やらないリスク」
──通じる英語力がすべての土台になることはよく理解できました。では、英語を身に着けた上で、グローバルな環境で活躍するためには、ほかにどんなスキルや意識が必要ですか。
村上 今、日本のリンクトインの社員は約50名、その国籍は10カ国にもなります。当然、さまざまなバージョンの英語が飛び交う環境です。
ビジネス上の商習慣も働き方も、個人の意見の尊重の仕方も、それぞれが違った常識と文化を持っている中で、みんなが気持ちよく安心して働くためにはどうすればいいか。お互いのカルチャーへの理解を深め、なるべくバイアスがかからない状態にすることは意識しています。
自分はドメスティックな日本企業でしか働かないから、グローバル化への意識や通じる英語なんて必要ないと考える方もいるかもしれません。
しかし、グローバル市場に好機を見出した製造業はどんどん海外進出を進めていますし、日本大手が突然、外資系企業の傘下に入るなんてことも実際に起っています。これは一部の特殊な例ではなく、今後ますます増えていくはずです。
是枝 個人が好むと好まざるとにかかわらず、グローバル化の流れからは逃れられないわけですね。
村上 そうですね。加えて、ネットの時代は自分が“存在しないリスク”をよく考えるべきかと思います。
グローバル企業が、英語ができる業界のエキスパートに出会いたいと思ったときに、どう自分に声をかけてもらうか。まず検索することが当たり前の時代、「個人のSEO」が重要になってくる。
僕自身、今のポジションに就いたのは、リンクトインに登録していて、米国本社の人に存在を認知されていたことがきっかけです。これがなければ、今のキャリアは実現し得なかった。
加えて、声がかかったとき、英語が伝わる自信があれば、すぐにコミュニケーションを取れる。ここでキャリアが大きく左右されるわけです。
是枝 そういう意味では、今できることをやっておかないことが、将来のキャリアにとってどれだけもったいないことなのか。
村上 もちろん英語力は一朝一夕で身につくものではありません。でも、筋肉痛のない筋トレは意味がないのと同じで、そのプロセスも楽しみながら続けられる仕組みを考えたほうがいい。その点、GSETはアクションアイテムが明確で納得感があり、やっていて気持ちがいい。
僕自身、GSETで「通じる英語」と向き合った結果、これまでは逃していた機会をつかめるようになった実感があります。日々のビジネスにも好影響が出てきた。1年は続けるつもりで始めたので、大きなジャンプを目指し、もうしばらくチャレンジを続けます。
(編集:樫本倫子 写真:大橋友樹、鈴木芳果 デザイン:堤香菜)
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