[東京 4日 ロイター] - 東芝<6502.T>は4日、先月31日に開催した定時株主総会で、アクティビスト(物言う株主)のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが取締役候補として提案した今井陽一郎氏の選任に43.43%の賛成があったと発表した。総会では株主提案は否決されたものの、存在感の高まりがうかがえる。

エフィッシモが提案した3人の取締役のうち、竹内朗氏への賛成の割合は41.95%、杉山忠昭氏は37.68%だった。3Dオポチュニティー・マスター・ファンドが提案した2人の候補は30%強だった。

エフィッシモは、東芝で2015年に不正会計が発覚した後も子会社で不正取引があったことを踏まえてグループのガバナンス強化を主張。市場では「ある程度、説得力があると受け止められたということではないか」(国内証券)との声が聞かれる。

東芝が提案した各候補への賛成割合はおおむね7─9割だったが、車谷暢昭社長の再任への賛成は57.96%で、同氏が2018年に東芝の最高経営責任者(CEO)に就いて以来、最低の水準となった。エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは「日本の機関投資家は成長志向が強い。20年3月期までうまく改善してきたが、次の成長戦略がまだみえず、圧倒的な信任は得られなかったようだ」と指摘している。

東芝は総会に向けて社外取締役10人を含む12人の選任を提案し、株主提案に反対の立場を表明。米議決権行使助言会社が会社側の主張に歩調を合わせた一方、株主の米ヘッジファンドが株主提案に賛成の意向を表明していた。

東芝は2017年末、海外の複数の投資家を引き受け先にした6000億円の資本増強を実施して以降、海外アクティビストからの圧力が強まっている。東芝の株主構成は6割強が海外投資家となっている。

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(平田紀之 編集:山川薫)