【真相】その「ゴミ」、誰が引き受けているか知ってますか?
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やはり2018年から中国が廃プラスチックの輸入を全面的に受け入れなくなったことが、大きな転機でした。中国は、1993年から25年間に渡って、世界の廃プラスチックの最大の輸入国でした。
中国では改革・開放によって、世界から廃素材を受け入れ続ける30年間が続いてきました。戦前の日本も、米国からクズ鉄を輸入することで製造業が成り立っていましたが、自国で消費する素材を国内だけでつくれる国は多くはありません。
中国が石油化学産業をはじめ、鉄鋼でも、素材産業全体で世界トップの生産国になった現在、廃素材を輸入する必要性は、当然なくなりました。それまでの期間、米国でも日本でもヨーロッパでも、「リサイクル」が盛んにいわれ、ゴミの分別回収が進められてきました。しかし、そのリサイクルの内実は、中国への輸出でした。
今問題になっているのは、中国に替わって巨大な廃素材輸入国になろうという国がない、ということによります。廃素材輸入国が無ければ、先進国の「リサイクル」は成り立ちません。
2018年当初は、マレーシアやインドネシアのような東南アジア諸国が替わりの輸入国になるのではないか、と考えられました。しかし、実際は、そのような需要はありませんでした。
マレーシアでは、「リサイクル業者」を名乗る業者が多数現れ、外国から有償で廃素材を引き取るようになりましたが、その結果起きたことは、リサイクルではなく、不法投棄の急増でした。マレーシアでは、河川から有毒ガスが発生して、付近の小学校生徒が何百人も昏倒して病院へ搬送されるなど、公害病が相次ぐようになりました。廃プラスチックの輸入停止を、世論がマレーシア政府に強く求めるようになった背景です。
今や中国も世界一のプラスチック消費国となりました。2018年の上半期で、東南アジア諸国の廃プラスチック輸入は、ベトナムで倍増、そしてタイでは1,370%増、という驚異的な伸びを見せました。しかし、2019年には東南アジア諸国の廃プラスチック輸入は激減しました。替わって輸入が急増したのは、セネガルのような西アフリカ諸国です。
https://www.ft.com/content/360e2524-d71a-11e8-a854-33d6f82e62f8「モノから学ぶビジネス教養」、第2回目は廃プラスチックから世界をみてみました。日本からは廃プラがアジアに輸出されていますが、中国を皮切りに各国が輸入を禁止や制限をする措置をとり始めています。
身近に感じていたプラスチックとリサイクル、調べてみると案外知っているようで知らないことが色々とありました。デザイナーのすなださんと作製したインフォグラフィックスで廃プラスチックからみえる世界の姿に迫ります。
本連載のバックナンバーはこちらからお読み頂けます。
https://newspicks.com/user/9764重要事項が理解しやすくまとまっている記事だと思います。
プラスチックの海外輸出処理ルートは中国の固形廃棄物輸入規制を契機に年々縮小している上、2021年度には汚れたプラスチックごみの移動がバーゼル条約で取り締まられ、さらに国際間輸送のハードルが高くなります。
日本の工場から排出される廃棄物の処理状況分析を行うと、国内廃棄物の過剰により処理価格が上昇していたり、これまでマテリアルリサイクルできていた素材が受入量制限のために売却できずに廃棄物して焼却せざるを得なくなっていたり、といったことが実際に起こっています。皆さんの会社でも、廃棄物の処理費上昇が観測できているかもしれません。
他国に任せていたプラスチック資源循環を自国に内部化し、それに必要な技術やキャパシティを拡充することは、日本だけでなく多くの先進国における潮流となっています。
日本では、昨年「プラスチック資源循環戦略」が打ち出され、使い捨てプラスチックを排出抑制し、プラスチックの再生利用量を増やす方針で進むことになりましたが、コロナによる使い捨てプラスチックの増加、原油価格暴落によるバージンプラスチックの記録的な低価格化と再生プラスチックの需要減少などの悪条件で、今は進みが遅くなっている状況です。
このような中で、多くの事業者が立ち上がり、プラスチックのリデュース、リサイクルしやすい製品設計、自社製品の容器回収リサイクルなどに着手していることが救いです。
政府によるリサイクル体制整備支援は時間がかかっており、消費者の行動を急速に変えることも難しいと考えられていますが、事業者が変わること、すなわち世の中に送り出す製品を環境を意識したものに変化させ、事業者自身が先導して適正資源循環へと導く効果は非常に大きいです。こういった意味で、プラスチック問題の解決は、先進的な事業者のリーディングが鍵となっていると考えています。