「融通のきく、柔軟なスケジュールで働きたい」「もっと休みが欲しい」と、誰でも思うだろう。しかし残念ながら、特に中小企業にとって、柔軟な勤務体制の導入は難しい問題だ。

そこで、従業員のために休日を増やす──労働時間を減らすのではなく、勤務日数を減らす──だけでなく、職場のソーシャルディスタンスの確保にもつながる勤務シフトをいくつか紹介しよう。

1. 9/80(9日間で計80時間)

総労働時間は2週間で80時間と変わらないが、休みは1日増える。時間が圧縮されているだけで話がうますぎると思うかもしれないが、米労働省に承認されている勤務形態だ。
■ 1週目:月~木曜日は1日9時間、金曜日は8時間働く。計44時間だが、給与計算上は金曜日の正午から次の週が始まるので、1週目は週40時間。

■ 2週目:月~木曜日は1日9時間働く。この計36時間に、前週の金曜日正午からの4時間を足して、週40時間(給与計算上は、金曜日の正午から2週目が始まっている)。

ここで2週間のサイクルが終わり、金曜日は休み。次の月曜日から新しいサイクルが始まる。
金曜日に全員を休ませることはできない……そんな声も聞こえてきそうだが、休む曜日を交代で変えることもできる。月曜日が休みの人、水曜日が休みの人。全員が2週間につき1日、平日の休みが増える。
ただし、月曜日や金曜日を休むと週末が3連休になるので、平日の休みは定期的にローテーションをすること。

2. 4班制(1日12時間、週3~5日)

私がある店舗で働いていたときは、入居している施設が1日24時間・週6日の営業で、休業日がない週もあった。私たちは長いあいだ8時間勤務の3交代制で、必要に応じて土日も働いていた。しかし、13日連続勤務が許されない時代になり、3交代制は維持したまま、4班に分かれて1回のシフトで12時間働くようにした。
■ 月、火、水曜日:A班は午前6時~午後6時、B班は午後6時~午前6時。
■ 木・金・土曜日;C班は午前6時~午後6時、D班は午後6時~午前6時。
■ 日曜日:交代で出勤(必要に応じて)。
働く曜日とシフトは毎月、入れ替える。
たとえば、上記のシフトの翌月は、A班が木、金、土曜日の夜勤に入る。夜勤に変わる週は月、火、水曜日の日勤から連続6~7日間働くことになるが、2つの班は7連休になる。つまり、4週間のうち1週間は1日12時間で7日連続勤務だが、次の4週間のあいだに7連休があって、長期休暇でシフトに空白が出ることもなくなる。
24時間体制で、週末も勤務が必要な会社にぴったりだろう。問題は、36時間しか働かない週があることだ。私の同僚は気にしていなかった。給料が減る代わりに休日が増えることを喜んでいた。
あるいは、給与計算のサイクルに合わせて1~2週間に1日、勤務を増やすこともできる。たとえば、追加の1日は4時間勤務(2週間単位で給与計算をするなら8時間)になる。
このような調整はシフトを複雑にするが、対応できるはずだ。それだけの手間をかける価値はあるだろう。私たちの場合、4部制で働く従業員の離職率は、1日8時間勤務の従業員の半分以下だった。
「12時間勤務の日勤を3日続けた後は3連休」というスケジュールは、好評だった。彼らにとって、休みは給料よりはるかに大切だったのだ。その時間を使って副業を始める人もいた。まだ副業が注目される前の時代だ。

3. 1日10時間、週4日

変形的な勤務体制としてはオーソドックスなパターンだが、利点も多い。給料も労働時間も変わらず、休みが週に1日増えるのだ。スケジュールと勤務シフトの作成も簡単だ。
たとえば、従業員が5人なら、休みの曜日を順番に交代する。私は今週は月曜日が休み、来週は火曜日が休み……ただし、週4日勤務は変わらない。
会社としては1日10時間働くだけの仕事量を用意しなければならないが、同時に出勤する人数を減らすことができる。
ただし、たとえば従業員が100人いれば、ソーシャルディスタンスは5人の職場より20%縮まることになる。そこで在宅勤務を組み合わせれば、物理的な距離をとることは比較的、簡単かもしれない。

勤務体制を変更するステップ

まず、自分の会社にはどのくらい柔軟な勤務体制が合っているかを決める。次に、従業員の意見を聞く。
新しい制度の長所と短所を説明しよう。最も重要なのは、会社が何を期待して変更するのかを伝えることだ。会社にとっても従業員にとっても、新しい制度をうまく機能させなければならない。
生産的で、献身的で、忠実な従業員がいなければ、会社は成り立たないのだから。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Jeff Haden/Contributing Editor, INC.、翻訳:矢羽野薫、写真:undefined undefined/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.