酒や食事では、根本的に解決しない
ゆったりワインを楽しんだり、ドラマを全話一気に見たり……。
通勤しなくて済むようになったおかげで、多くのリモートワーカーが1日あたり3時間もの時間を手にするようになった一方、仕事からプライベートにうまく切り替えられず悩んでいる。本記事では、この切り替えをうまくやるためのコツについて考えてみたい。
よく使われるのが、酒を飲むとか食事をするとか布団に潜るといった手だ。だがいずれも感覚を鈍らせるだけで、根っこにあるストレスを解消する効果はない。
「そんなことをしても不安や心労が余計に長引くだけだ」と語るのは、心理学者で『CEOの最大の困難を乗り越えるには(Mastering the CEO’s Greatest Challenge)』の著者であるマイケル・カーンだ。「そのことに気づくのが遅れれば遅れるほど、抱えるトラブルは大きくなる」
通勤がなくても「心の通勤」をつくる
以前なら、「働く自分」から「家での自分」に切り替えるきっかけとなる「儀式」はいろいろあったはずだ。
コンピューターを閉じる、同僚とおしゃべりする、別れのあいさつをする、通勤電車や車の中で音楽を聞く、用事をこなす、ペットや家族やルームメイトに「ただいま」と言う、仕事着を脱ぐ、化粧を落とす――。
「実際の通勤が『心の通勤』の助けになっていた」と、インディアナ大学ブルーミントン校の社会学者で『自宅と仕事――日常生活における線引きを考える(Home and Work: Negotiating Boundaries Through Everyday Life)』の著者でもあるクリスティーナ・ニパートエンは言う。
以下では、在宅勤務で仕事からプライベートへの切り替えに役立つきっかけとなる行動について、いくつか紹介しよう。
1. 通勤の代わりになる儀式を考える
かつてやっていた「儀式」を順番に書き出し、最も役に立っていたのはどれかを考えてみよう。「かつて(切り替えに)役立っていたものを現在の生活にどう組み込めるか、頭を使ってみよう」とニパートエンは言う。
仕事が終わったら散歩してシャワーを浴びるのもいいし、同僚たちとおしゃべりをしてからエクササイズ用の服に着替えるのもいい。何時間もコンピューターの前に座り続けるのはやめよう。
仕事は自宅内の別の場所でするようにして、ささやかな「通勤」を生活に組み込もう。キッチンの椅子の向きをくるりと変えるだけでも、やらないよりはいい。それまでと違う視点で家の中を見ることができるからだ。
2. リラックスするだけが能じゃない
キャリアコンサルタントのニコール・クスティエはクライアントに対し、仕事の後に何か夢中になれることを本気で探すよう勧めている。必要な要件は以下の通りだ。
・集中できるものであること。意欲をかき立てられ、神経を使い、心を奪うようなもの。
・所要時間は30~60分超。
・家族やルームメイトと一緒に取り組めて、みなのエネルギーを振り向けられるもの。必ずしも対話は必要ない。読書のように、それぞれが別々に取り組むものでも構わない。
たとえば、パズルやクロスワードパズルを解いたり、日記を書いたり、自然の中を散歩したり、料理するのもいい。
クスティエによれば「仕事で神経を使うから、アフター5はリラックスして心を静めなければならない」という間違った思い込みを抱いている人が大半だという。だが、リラックスやクールダウンをしたにもかかわらず、切り替えがうまく行かないことや、いい気分になれないことは珍しくない。
とにかく試してみることだとクスティエは言う。試しに午後5時にパズルをやってみて、楽しめたかどうか、ストレスは消えたか考えてみる。効果が上がらなかった場合は、もっと頭を使う活動のほうがあなたには合っているのかもしれない。
そうでなければ、親友と電話でしゃべりながら、もしくはお気に入りのポッドキャストを聞きながらパズルを解いてみたほうがいいのかもしれない。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Arianne Cohen、翻訳:村井裕美、写真:NoSystem images/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.