2020/8/2

【独占】トヨタの未来都市ウーブン・シティを語ろう

NewsPicks記者
トヨタがまた、未来のモビリティを実現するべく実験的な組織をつくる。
Woven Planet Holdings(ウーブン・プラネット・ホールディングス)。
自動運転技術の開発・実装を担ってきたTRI-ADの社名は消滅し、この持株会社の傘下に「ウーブン・コア」「ウーブン・アルファ」なる2社をぶらさげた形に大きく変わる。
そして、今度は自動運転だけではなく、未来都市までを実装する役目を担うという。
TRI-ADのCEOで、ウーブン・プラネット・グループ3社の代表取締役にも就任するのは、ジェームス・カフナー。元グーグルのロボティクス部門トップを務めたその人物は、2016年にトヨタに参画し、今年6月にはトヨタ本体の取締役にも就任した。
これらの組織改編や人事は、果たして何を意味しているのだろうか。
鍵を握るジェームス・カフナーの、NewsPicks独占インタビューをお届けする。

ウーブン・プラネットとは何か

──再編されたウーブン3社すべてのトップに就任しました。大役ですね。
カフナー とても光栄です。と同時に、重責も感じています。
──2018年からトップを務めたTRI-ADの社名はなくなってしまいます。寂しさはありませんか?
寂しくないといえば、嘘になります。TRI-ADのロゴが入ったジャケットは、レアアイテムとして価値が上がるかもしれませんね(笑)。
ただ、「ウーブン・プラネット」という名前も、すごく気に入っています。他にも候補はありましたが、最初から好きな候補がこの名前でした。
2年前にTRI-ADを設立した目的は、トヨタ内の自動運転や先進安全技術の開発を、一つのチームに集約して重複を減らし、ソフトウェア開発を強化することでした。
20年前、車のソフトウェアのコードは数十万行ほどでした。しかし今では、何百万行ものコードが詰め込まれています。
そうした中、自動運転技術の実用化に向けて、高品質なソフトウェア開発の成果を上げてきました。そして今、次のステージへ向けて、事業の拡大が必要だと考えています。
ウーブン・プラネットは、持株会社の構造によって、柔軟性を持たせています。
持株会社の下で、自動運転技術の開発・実装といった、TRI-ADがこれまで行ってきた既存事業は、「ウーブン・コア」社が担います。
そして、ウーブン・シティの開発といった新しい領域は、「ウーブン・アルファ」社で開発していくことになる。
私がいた頃のグーグルも、同じように持株会社のアルファベットを中心とする再編を行いました。
当時は、次世代技術の開発を行うGoogle Xや自動運転技術のウェイモなどをスピンアウトして、新しい取り組みを機動的に行いやすくしていました。