[北京 31日 ロイター] - 中国国家統計局が31日発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.1で、前月の50.9から上昇、3月以来の高水準となった。景況改善・悪化の分岐点の50を5カ月連続で上回った。

電気製品、医薬品の見通しが改善した。

中国で洪水被害が発生、世界各地では新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、予想外の上昇となった。ロイターが集計したアナリスト予想は50.7だった。

新規輸出受注は減少が続いたが、前月よりも落ち込みは縮小した。雇用指数も50を引き続き下回ったが、前月からは改善した。

生産指数と新規受注指数は4カ月ぶりの高水準を付けた。

中国では貿易統計や生産者物価などの各種統計で製造業の回復が示されている。

ただ、アナリストは、新型コロナ対策の封鎖措置で抑制されていた需要の表面化が一巡し、その一方で広い地域の経済活動が洪水被害を受けているため、製造業が回復の勢いを維持するのは難しくなる可能性があると指摘する。

また、世界的なコロナ感染再拡大を背景とする需要の低迷で、中国国内の工場はフル稼働に戻せない状況が続いている。

中国では、西部や北東部で再び新型コロナの感染が拡大している。

野村のアナリストは「中国政府は今年いっぱい、緩和姿勢を維持するだろう。景気は完全な回復にはほど遠く、不透明感が強いからだ」とした。

<今後は回復ペース鈍化か>

キャピタル・エコノミクスのジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「回復ペースは今後数カ月で鈍化する公算が大きい。事業再開の初期の効果が薄れるとみられる」と指摘。

「下支え要因だった新型コロナ関連の輸出(マスク、医療品、在宅勤務関連の機器など)も低迷するとみられる」と述べた。

31日発表の調査結果によると、第2・四半期の世界のスマートフォン販売は前年比14%減だった。

国家統計局の当局者によると、中小企業は引き続き需給面で問題を抱えている。中小企業の動向を示す指数は50未満でさらに低下したという。

国家統計局が同時に発表した7月の非製造業PMIは54.2で、前月の54.4から低下した。ただ、景況改善・悪化の分かれ目となる50は5カ月連続で上回った。

新型コロナウイルス感染者が再び増加する中でも、消費者心理が改善しつつあることが示された。

製造業と非製造業を合わせた総合PMIは54.1となり、前月の54.2から低下した。

今月のロイター調査によると、今年の中国の経済成長率の予測は2.2%。前回4月時点の1.8%から上方修正された。

*内容を追加しました。

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