[香港 29日 ロイター] - 香港特区政府が29日発表した第2・四半期の域内総生産(GDP)速報値は、前年同期比9.0%減となった。縮小は4カ月連続で、マイナス幅は統計開始以来最悪となった第1・四半期の9.1%に次ぐ大きさ。新型コロナウイルス感染拡大抑制策の緩和を受け改善の兆候は出ているものの、感染が再拡大しする中、急速な回復は望めない。

前期比(季節調整済み)では0.1%減と、第1・四半期の5.5%減から改善した。ただ新型ウイルス感染の再拡大を受け、香港当局は今週、レストランでの飲食の全面禁止などを含む感染拡大抑制策を発表。レストランでの飲食が全面禁止となるのは初めて。

キャピタル・エコノミクスの中国エコノミスト、マーティン・ラスムセン氏は「新たな抑制措置はこれまでより厳しく、消費に一段と大きな影響が及ぶ恐れがある。感染者数の増加を踏まえると、こうした厳しい措置は当面は解除されない公算が大きい」と指摘。「これにより、消費の回復が遅れ、雇用と所得に一段の圧力がかかり、政府の支援策の効果が薄れる」と述べた。

香港経済は新型ウイルス感染拡大前から反政府デモや米中貿易戦争の影響で苦戦。中国が7月1日に香港の反政府的行動を取り締まる「香港国家安全維持法案」を施行したことで、香港の国際金融ハブとしての地位も危ぶまれている。

第2・四半期は消費と投資が引き続き軟調だったものの、中国経済が力強く回復したことで経済活動は幾分支援された。香港当局が実施した景気刺激策も支援要因となった。

香港政府報道官は声明で「新型ウイルス感染拡大が収束し、外的環境が改善すれば、香港経済は年末に向け徐々に回復する」と表明。政府は通年の成長率見通しをマイナス4─7%に据え置いた。

ただINGの大中華圏担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は「香港経済に極めて重要なサービス消費は回復していない。7月に入ってからは4─6月期より悪化している」と指摘。キャピタル・エコノミクスは2020年の香港経済の成長率見通しをマイナス8.0%とし、従来のマイナス4.5%から下方修正した。