[シドニー 29日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した第2・四半期の消費者物価指数(CPI)は前期比で1.9%低下と、過去最大の落ち込みとなった。新型コロナウイルス危機を受けた保育無償化とガソリン急落が主な要因。低インフレ脱却に向けたここ数年の進展が頓挫した格好となった。

前年比は0.3%低下と、1998年以来のマイナスとなった。市場予想は前期比が2.0%低下、前年比が0.4%低下だった。

オーストラリア準備銀行(中銀)はインフレ目標を2─3%に設定しており、第1・四半期に数年ぶりにCPIの伸び率が目標レンジ内に収まったばかりだった。

豪経済は1990年代序盤以来初めてのリセッション(景気後退)入りが確実視されており、物価の見通しに影を落としている。

BISオックスフォード・エコノミクスのチーフエコノミスト、サラ・ハンター氏は「労働市場の困難な状況が賃金の伸びを抑え、これが総じて弱い経済環境と相まって消費者物価の上昇を阻害することになるだろう」と分析した。

ただ、CPIが下落に転じたからといって、持続的な物価下落を意味するデフレに陥ったことにはならない。むしろ、豪政府による保育無償化など一時的な要因による一過性の現象だとみられる。

政府が4月初旬から6月下旬の期間に導入した保育所の利用を無料にする措置によって、CPI上昇率は1.1%ポイント押し下げられた。同措置の終了を受けて、保育料は今四半期に大幅に上昇するとみられる。

また、第2・四半期は原油安を受けてガソリン価格が急落した。しかし既に価格は持ち直している。さらに、国内の3つの州がプレスクールを無償化したため、教育費が押し下げられた。

統計局によると、これら3つの要因を除外するとCPIは0.1%上昇したという。

それでもなお、変動が大きい要素を除いた基調インフレ率も低調な結果となった。基調インフレを示す中銀トリム平均値は前期比0.1%低下と、史上初の下落。前年比では1.2%上昇したが、前期の1.8%から伸びが大幅に鈍化した。