2020/7/29

【3分解説】金価格の最高値更新を理解する4つのポイント

Oh Tesun
NewsPicks 金融ジャーナリスト
金(ゴールド)の先物価格が7月27日に、1トロイオンス(約31.1g、以下オンス)=1944ドル(約20万4100円)をつけて9年ぶりに史上最高値を更新した。
金価格は3月半ばから値上がりが続き、年初から27.8%上昇。1オンス2000ドルの大台に接近している。
なぜ金がここまで人気なのか。4つのポイントに絞って解説する。
INDEX
「カネ余り」で金が優位に
弱くなるアメリカ、安くなるドル
市場にお金を引き込むETF
現状は「高過ぎ」の可能性も

「カネ余り」で金が優位に

金(ゴールド)の価格を決める要因は多様で複雑だ。田中貴金属工業などのように現物の金を取引するお店もあれば、金先物取引の市場もある。宝飾品としての需要も根強い。
写真:Moussa81/iStock
それらの様々な取引や思惑の結果として金価格が形成されていくが、この中でも今、特に強い影響力を持つのが機関投資家だ。
「この1、2年で投資家の動きが劇的に変わりました。機関投資家が金を買い始めたことで、金価格が上昇しています」
金相場に詳しいエモリキャピタルマネジメントの江守哲代表は、年金基金などの機関投資家が金に積極的に投資しているために金の価格が値上がりしていると指摘する。
ではなぜ、機関投資家は金を買っているのだろう。
端的に言えば、市場には今、お金があふれていて、なおかつ、魅力的な投資対象が見当たらないという事情がある。
新型コロナの経済への影響拡大を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB、アメリカの中央銀行)は3月、政策金利をほぼゼロ%まで引き下げるとともに、7000億ドル規模の資産を買い入れる量的緩和政策を打ち出した。
金利引き下げと量的緩和政策は、お金を市場に供給することで、不安を和らげてショックを回避し、経済活動を活発化させる狙いがある。
だが、今は、お金の向かう先がない。