3密対策や体温検知、非接触など、オフィスの新たな課題への対応が急務だ。スタートアップやIT企業を中心に、デジタル技術で感染リスクを抑える「オフィステック」の提案が相次いでいる。連載「オフィス・ニューノーマル」のオフィステック編では、その最新動向を解説する。最初に紹介するのは、オフィス内の「密」を検知するシステムだ。
ベンチャー企業のビーキャップ(東京・中央)は2020年7月16日、オフィス内の社員の位置情報を把握し「密」の状態を社員や管理者に知らせる「Beacapp コロナ対策マップ」のサービス提供を始めた。感染者と接触した社員の抽出も可能だ。既に三井不動産が一部オフィスに導入しているという。
コロナ対策マップは、ビーキャップが提供する「beacapp HERE」(以下、ビーキャップヒア)のオプションという位置付けだ。建物内の人の位置を検知する屋内測位システムには様々な種類がある。ビーキャップヒアは、ビーコンと社員のスマートフォンで位置を検出するのが特徴だ。既に社用スマホを使っている企業なら、比較的安価に導入できる。
ビーコンとは、BLE(Bluetooth Low Energy)の信号を1秒に数回発信する端末だ。オフィスの各所にビーコンを配置。ビーキャップヒアのアプリをインストールしたスマホがオフィス内でBLE信号を検知すると、信号を出しているビーコン端末を識別して、スマホからクラウドにログを送る。このログをサーバー側で解析して、スマホの位置を推定。この情報を基に、デジタルマップ上で社員の位置を表示する。
「働き方改革の一環としてアクティビティー・ベースド・ワーキング(ABW)という考え方が登場した。働く場所が固定されないため、誰がどこに居るか分からない。それを解決するソリューションとして屋内測位システムが注目されている」。ビーキャップの中垣雄代表取締役社長はこう説明する。