2020/7/20

【真相】YouTuberは、なぜ「UUUM」から独立するのか

NewsPicks 編集部 記者・編集者
もうYouTubeは、若者だけのメディアではなくなった。
プラットフォーム上にはエンタメものだけではなく、語学を学べる英語講座や、教養が身につく歴史解説、子ども向けのチャンネルまで、様々なコンテンツがあふれている。
いまや、幼稚園児から高齢者まで、YouTubeは誰もが楽しめるプラットフォームに進化している。

大物YouTuberが相次ぎ「退所」

CA Young Lab(現Cyber Now)が2018年に発表した予測によると、YouTubeの市場規模は、2016年は100億円だったものが、2020年には475億円に達する見込み。たった4年で約5倍に拡大する計算だ。
(写真:SOPA Images / getty)
そんなYouTubeの成長を支えるのが、プラットフォーム上に動画を投稿するYouTuberの存在だ。
YouTuberが稼げる「職業」になったのは2011年。YouTubeを運営する米グーグルが、動画製作者が広告料を受け取ることができる「YouTubeパートナープログラム」を一般ユーザーに開放したことがきっかけだった。
プログラムには参加条件があるが、それをクリアできれば、投稿した動画を広告収入とひも付けてお金を稼ぐことができる。
中には年間で数千万〜億円単位を稼ぐ猛者も現れ、素人が一攫千金を狙える夢のある職業として、YouTuberが注目されてきた。
そして、YouTuberの増加に伴い、それをマネジメントするビジネス生態系が確立されてきた。国内における筆頭格が、人気YouTuberが多数所属するUUUM(ウーム)だ。
HIKAKIN、はじめしゃちょーなど、日本のトップユーチューバーが多数在籍しており、UUUMに所属することは、「人気ユーチューバーの証」とされてきた。国内のYouTube市場の拡大を後押ししてきた存在でもある。
しかし今、そのUUUMからYouTuberたちが「退所」(契約終了)する動きが相次いでいる。
直近1年だけでも、国内女性ユーチューバーでトップクラスのチャンネル登録者数を持つ木下ゆうか、検証動画で人気のすしらーめん《りく》などが、次々とUUUMとの契約を終了した。
(出所)編集部
この動きはUUUMだけに限らない。UUUMに似たビジネスモデルで知られるVAZ(バズ)もまた、YouTuberが次々と退所している。
VAZはヒカルやスカイピースなど、事務所の「看板」YouTuberが離脱しており、経営への影響はUUUMよりも大きいとみられている。
(出所)編集部
皮肉なことに、こうしたYouTuberが事務所から退所・独立する動きは、YouTubeというプラットフォームの影響力が増したことが遠因になっている。
YouTubeにたくさんの視聴者が訪れるほど、人気YouTuberが事務所から退所してしまうリスクがあるのだ。
今、YouTube市場で何が起きているのか。