豚肉はなぜイスラム教でタブーなのか 中東で暮らして考えた
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私もエルサレム特派員時代、ユダヤ教とイスラム教の禁忌を経験しました。豚肉は両方で×、またユダヤ教ではエビやカニなどの甲殻類も×。しかしイスラエルではロシア系の肉屋では豚肉が置いてありました。イスラエルの法律では肉親にユダヤ人がいれば本人もユダヤ人としてイスラエルへの移住を認められるためで、ソ連邦が崩壊した際にイスラエルに移住してきた100万人を超える「肉親にユダヤ人がいる人」が、ロシアの豚肉食文化を持ち込んだという背景があります。
そんなわけで、豚肉を食べたくなったらロシア系の肉屋に行って三枚肉やロースを塊で買って冷凍し、少しずつ大事に食べました。イスラエルでは食べられないエビやカニは、パレスチナ自治区ガザに取材に行った折に地中海岸のレストランで食べて帰るのがお決まりのコース。10年以上前の、懐かしい思い出です。マレーシアはイスラム教が国教ですが、三民族のなかに中華系マレーがいるので、スーパーでノンハラルコーナーで豚肉が普通に買えます。マレーシアのムスリムは同じ不浄の存在とされる犬でも、ペットであれば可愛いと感じているようですし、ムスリムの家族で、娘が豚が主人公の人気アニメ、ペッパピッグが好きでも親は気にしない、と寛容です。あくまで個人の信仰の問題ですが、環境面でも中東との差は大きいでしょうね。
中東と東南アジアの食事情は異なり、世界一ムスリムが多いとされるインドネシアでは豚は意外と普通に食べられます。
日本食屋、中華料理店はもとより、ヒンドゥー教を信仰するバリは豚の丸焼が名物です(←とても美味しい)。
一方ムスリムの人たちに聞くと、飲酒よりなにより豚を食べることは最大禁忌の模様。日本人をパートナーに持つ人は「お酒は飲んでもいいけど、お願いだから豚はやめて…!」と言っているとか。