まず、年収の話です。外資系証券バブルの時は、新卒で年収1,000万もありましたし、VPクラスで年俸は1,500万くらい、ディレクターで2,000万くらい、MDで3,000万以上だったでしょうか。ボーナスはまったく人によりますが私は1億以上もらっていました。

こうなると世の中は自分を中心に回っているのではないかと錯覚します。接待でも、超一流レストランしかいかないし、味覚が鋭くなった気がします。外資系証券と言えど金融機関ですから副業は原則禁止です。しかし金があるとリスクを取りたくなるし、儲け話は山ほど来ます。

私の周りでは、一番人気は不動産投資。これは私もやりました。銀行はいくらでも貸してくれるので、勇気さえあればいくらでもできます。友人は50億程度の不動産を購入し、今でも大家として暮らしています。私はかなりコンサバで、都内に8億程度の投資をし、現在も所有しています。

運が良かったのは、いつも3割程度のエクイティを入れていたのでキャッシュフローに余裕があることと現金を不動産に回していたので、訳の分からない投資をしなかったことです。

飲食業に手を出した同僚は何人もいました。美味いものを食べているので食通と勘違いし、また接待費を湯水のように使えるので、会社の接待費を自分の店で落とすこともありました。今では利益相反と言われますが当時は甘かったかな。そしてほぼ全員が失敗しました。

私も食へのこだわりは強かったため 一瞬考えましたが運よく断念しました。

友人の失敗談です。彼は六本木で寿司屋を経営しました。店舗は狭いけど、そこそこの高級店です。同僚も外資系ネットワークを使い店は繁盛しましたが、板さんが辞めてしまい、閉店、結局大損という結果になりました。私は、寿司屋理論といっていますが、飲食業は参入障壁が低いため金さえあれば誰でもやれます。しかしオーナーが食事を作れないとなるとスタッフは全員雇わなければなりません。特に寿司屋となるとプロです。もし飲食業をやるなら、最低自分でも接客したり、作ることができるバーくらいかなと思いました。

もう一人の友人は、高級フランス料理店を経営しました。会社のパーティはいつも貸し切り。究極の利益相反です。本人がフランス人であるためスタッフの確保に問題はありませんでしたが、直後にリーマンショックが来て店は閑古鳥が鳴いていました。大型フレンチは退去費用も大きかったようです。さらに彼の銀行は他社に買収され、多額の退職金を得るはずが、この利益相反で退職金はゼロ。彼は訴訟をおこしましたが負けたため訴訟費用まで持ち出しました。

外資系金融マンは、世間的にはエリートです。しかし金融以外で成功した人は一握りです。

金融業は、結局、会社の看板が非常に大きく、会社の金の大きさで勝負しています。そして金が目の前にあるのではなく、チケットに数字が並べてあるだけで実態がありません。

高級サラリーマンは会社から出ると案外無力です。

したがってリッチな生活を維持したい金融マンは、会社にしがみつくことをお勧めします。