2020/10/17

【業務スーパー 社長】行ったことがない人にいかに来てもらうか

荻島 央江
ライター&編集者
新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要で、食品スーパーは軒並み好調だったが、なかでもひと際目立つのが、緑色の派手な看板が目印の「業務スーパー」だ。安さとボリュームが最大の特徴。2000年にフランチャイズ展開をスタートし、今では北海道から沖縄まで全国に866店舗を展開する。

同チェーンを運営する神戸物産(兵庫県加古郡稲美町)は1985年に創業、今期で35周年を迎えた。主力事業の業務スーパーが売り上げを牽引し、2019年11月~20年7月期の売上高は前年同期比18%増の2593億円、営業利益は29%増の186億円と絶好調。過去最高売上高を更新中で、21期連続で増収を続ける。

沼田博和社長は2代目。12年に創業者で父の昭二氏の跡を継ぎ、31歳の若さで社長に就任。父が生み出した「食のSPA(製造小売業)」というビジネスモデルをさらに強固なものとし、急成長につなげている。製薬会社の研究職出身という変わり種社長が手掛ける新たな取り組みとは。(全7回)

店名は知っているけれど

業務スーパーでは、この1年半ぐらいで新しいお客様がかなり増えました。メディアへの露出が増えたことが大きく影響していると思います。
沼田博和(ぬまた・ひろかず)/神戸物産 社長
1980年生まれ。2005年、京都薬科大学大学院薬学研究科修士課程修了。大正製薬を経て、09年4月、神戸物産に入社。11年1月取締役、12年2月から現職。
昨年はタピオカブームで、台湾から直輸入している冷凍タイプの「タピオカドリンク(ミルクティー)」がよく売れました。おかげで10代のお客様も多く来店するようになりました。
7、8年前ぐらいに関西圏の取引先が実施したウェブアンケートの結果を見せてもらいました。
すると、90%を超える人が「業務スーパーを知っている」と回答する一方で、半数の人が「知っているし看板も見たことがあるけれど、行ったことがない」と答えていたのです。
行かない理由はいろいろあると思いますが、このときから「知っているけれど、行ったことがない人にいかに来てもらうか」が課題になり、多くのみなさんに足を運んでもらえるよう継続的に取り組んでいます。