2020/9/9

【青野慶久】「100人100通りの働き方」で業績右肩上がり

青野 慶久
サイボウズ 代表取締役社長
情報共有のための「グループウェア」と呼ばれるソフトウェアやクラウドサービスを手掛けるサイボウズ。働き方改革の先進的な企業として知られ、「働きがいのある会社」でも2位にランキングされる(2020年、中規模部門。GPTW調べ)同社だが、15年前は危機的状況にあった。

ちょうど青野慶久氏が社長に就任した頃、社員が次々に退職。離職率は28%まで上昇する。給与の引き上げや業務の転換など、社員を引き留めるために様々な対応を試みたものの、さほど効果は上がらず。そこで社員に「どんなふうに働きたいか」を丁寧に聞き取り、「育休・介護休は最大6年間」「副業大歓迎」など働きやすい制度を続々導入する。

これが功を奏し、その後サイボウズの離職率は低下。12年以降は4%前後で推移。業績も好調で、同年以降、売上高は毎年、前年比115%ほどのペースで伸長している。青野社長は経営者としての自信を失いながらも、活力が消えかけた職場をどう再生したのか。(全7回)
社員に辞められて気づいた
社長に就任した当時、サイボウズはベンチャー企業なのだから、一人一人がガツガツ働くのが当たり前だと思っていました。
私自身、ガツガツ働くのは最高に幸せだったし、ハードな働き方を拒む人がいても、「ITベンチャーなのだから激務は当然」と考えていました。
成果至上主義を志向し、社員同士や事業部同士を競わせ、「ついてこられない人は辞めてもらってかまわない」と公言していました。その結果、会社の雰囲気は殺伐とし、離職率は28%まで上昇しました。
青野慶久(あおの・よしひさ)/サイボウズ 社長
1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、97年8月松山市でサイボウズを設立。2005年4月から現職。社内のワークスタイル変革を推進し、離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。また11年から事業のクラウド化を進め、売り上げの半分を超えるまでに成長。総務省、厚労省、経産省、内閣府、内閣官房の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)副会長などを歴任。
世の中の社長はみんなそうだと思いますが、社員に辞められるのは精神的にきつい。まるで自分を否定されているような気分になるからです。
それに、社員に頻繁に辞められると、経営効率が悪い。採用広告、面接、教育などにお金と時間がかかりますからね。
そこで引き止め工作として、給与の引き上げなどを実施したものの、全くうまくいきませんでした。
この頃、やっと気づいたのは、全員がハードワークや報酬に幸せを感じるわけではないということです。
社員全員の意見を直接聞く
いろいろな人がいる中で、みんなが前向きに仕事に取り組むにはどうすればいいか。意見を直接、聞いてみることにしました。