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シンガポールは多くの日本企業がアジア太平洋ビジネスの地域統括を置いています。総選挙は与党が常勝ですが、野党得票が増える傾向にあり、今回は4割と無視できない声となりました。

リスクマネジメントの上でも、選挙結果を基に「もし、こうなったら」という視点から、5%、10%の票が野党に回っていたらどうなったのかという簡単なシュミレーションもしてみました。

なお、私がNewsPicksに入社した2016年に執筆した連載「カントリー・リポート シンガポール編」は、4年が経過した今でも十分に参照頂ける内容だと思います。短期的な数字は変わってしまっていますが、シンガポールを構造的、長期的な視点から理解するためには参照できると思います。

初回は無料で読めます。
「海賊の島から日本を抜く所得水準へ。変貌するシンガポール」
https://newspicks.com/news/1639983
シンガポールの最大野党、労働者党の創始者デヴィッド・マーシャルは、イラクから移住してきたユダヤ人でした。東南アジアにおける大英帝国の経済的中心地シンガポールには、中東のユダヤ人やアルメニア人が少なからず移住してきて経済の大きな役割を担いました。
 独立前の第1回選挙では第1党になったマーシャルの労働党でしたが、左派的な労働党は当時シンガポールを統治していた英国に嫌われました。共産主義との戦いが最重要課題になっていた英国にとって、マラヤ共産党と交渉して妥協しようとする労働党は、許容できませんでした。
 共産党を断固として叩き潰す姿勢を見せて、英国とも良好な関係を築いたのがリー・クアンユーと彼の人民行動党でした。1959年選挙から、常に人民行動党が圧勝するようになりました。
 英国から嫌われ、選挙で1議席も取れなくなったマーシャルと彼のグループは雌伏の時を過ごし、労働者党として野党第1党(6議席)に返り咲いたのは2011年でした。2020年総選挙は10議席でした。与党人民行動党は83議席です。
 冷戦時代に冷や飯を食べた労働者党ですが、2020年総選挙では、総投票数の内、11%と10議席を得ました。前回2015年には12%と6議席でした。
 2020年総選挙では、新党シンガポール前進党が、総得票数の内10%を得ましたが、議席は0でした。この10%が、野党への票数が2015年の30%程度から2020年の40%に伸びた原因です。
 前進党は、与党人民行動党を割ったグループがつくった新党ですが、議席はゼロでした。シンガポールの選挙制度は小選挙区制の変種ですが、その制度下では、多民族の票を得ないと勝つのは難しいです。新党前進党は、華人の支持は相当に得ましたが、マレー人やインド人からも満遍なく支持を得られる準備はできていませんでした。
 人民行動党への不満は少なからずあるでしょうが、代わりに政権をとれるほどの野党は、シンガポールには存在しない、といえるでしょう。都市国家ゆえの背景もあり、地方自治なども無いので、野党が自治体行政で統治手腕を示す機会などもありません。非華人の指導者が多い労働者党は、一部の選挙区では勝てます。しかし、華人の大多数の支持を得つつ、他民族もそれなりに取り込む人民行動党には勝てません。
シンガポールに赴任した時、世代間で政権に対する思いが違うことに驚いた。 
建国時 子供だった人は昔の暮らしを覚えていて今の豊かな生活に感謝。ミレニアム世代以降は生まれながらに多くを手にし、過酷な受験競争を生き抜くことが一族の希望で多くのプレッシャーを感じている。中流以上だと家政婦さんを雇うことも普通で、家が高いので夫婦でしっかり働くことが一般的。 シンガポールは 急激に環境が変わった国と言える。
第一世代から第二世代以降に人口もシフトし、右肩上がりの経済が続かない今 様々な問題が顕在化してくる。
VisaやMastercardのアジア拠点は、東京ではなく、シンガポール。東京で決裁できないことは、シンガポールにお伺いをたてることになります。それだけ、動きやすい環境が整備されているということ。

その魅力をつくっているのは、政治。そこに新しい芽が出てこようとしている。若年層からみると、制度的に古いところが結構あるのでしょうね。今後の進化を見てみたい。
前回の選挙はリー・クアンユーの死後に前倒しで行われたこともあり、与党への得票率が高かったが、今回は前々回の選挙の水準まで下がりました。
集団選挙区は選挙の度に少し選挙区域が変わっていて、与党に有利なように設計されているのだと思います。
今回の選挙では若い野党の候補者が、緑化などの生活のしやすさや経済成長を追わない国づくりを演説でアピールしていたのが印象的でしたし、リー・シェンロンも若者が与党を支持していないことについて選挙後のインタビューでコメントしていました。
是非多くの人に読んでもらいたいシンガポール政治の今がわかる記事。先日行われた選挙は当然外国人である私には投票権はありませんでしたが、身の引き締まる瞬間でした。ともかくこの国の政治的安定を何より望みます。
自由に出入り出来ないシンガポールなんざいる意味が見出せない。税金は安くても、その分家賃などの生活費は高い。アジア周辺国への移動が容易で時差もないので商売の拠点には最適だったが、コロナで移動が制限されている今は単に狭くて高いだけの小島。

一人当たりGDPが高いことで所得水準が高いと勘違いされているようだが、GDPと家計所得は異なる。シンガポールの人口の20-25%はその日の生活にも困る貧困層。簡素なHDBに押し込んで外から見えないようにしているだけ
二年間ほどシンガポールに住んでいました。「明るい北朝鮮」という言葉は良く分かります。労働組合は認められていませんし、賃上げも政府が決めます。クルマの台数は1台単位で政府が管理していて、クルマを買う権利が毎月売り出されます。
選挙も今回のように6割の得票率で9割の議席が取れるような仕組みなので、政権交代は絶対に起こらないようになっています。その意味では共産主義的な独裁国家です。

中国高官は「香港をシンガポールのようにしたい」と考えているようですが、シンガポールはルールが明確化されていて国民もそれを理解して受け入れていることです。今回の香港のように共産党の意向で何でも決まってしまう中国とは根本的に違います。
コロナ禍という特殊環境の中での選挙で、与党得票率がワースト3位、ワーストが2011年でワースト2位が1991年ということなのでこれをもって直ぐに何かが、ということはないでしょうが。ロングレンジでの漸減傾向は続いてますから、次の首相にプレッシャーはかかる状況です。
超競争社会であることは間違い無く、6年ほど前に調査をした時に最近ショックだったことを聞いたら、「子供が試験が終わったら教科書を全部燃やしていたこと」という答えが返ってきました。勝者には生きやすい国であるものの、子供時代から大きなプレッシャーがかかっている事は間違いないようです。
シンガポールも、日本も直面した難しい課題=負の分配、というところに向き合う必要が出てきているのだと思います。

選挙中、数十人の人に街中で声をかけて話を聞きました。シンガポールでは、親の面倒を子どもがみるのが普通なので、30~40代、親に仕送りをしつつ、子どもの教育費も心配、という世代からは特に与党批判が多かった印象です。野党が前回躍進したのは11年。そのとき20代だった有権者はいま30代のファミリー世代。こうした世代には、与党の実績への実感も薄く、野党支持への抵抗もないのではないでしょうか。

「2019年にシンガポールの国立大学を卒業した学生の初任給中央値は、月額約28万円に対し、技術系専門学校卒業者(ディプロマ取得者)は約19万円であった。さらに、大卒と高卒は倍ほどの開きがある。その後の給与の伸び方も、一般的には学歴に比例している」

私も来て日が浅いので誤解していたところがあるのですが、「明るい北朝鮮」と言われがちなシンガポールですが、選挙中に取材した限りでは、与党批判は多く、むしろ与党をたたえるだけの人の方が少なかった。与党に文句のないひとは、取材に応じにくいだろうというバイアスはあると思いますが、それを踏まえても、リー・クアンユーという偉大な指導者の栄光は、すでに歴史になりはじめているのかもしれません。

政府のコロナ対策は総じてうまくいっていたと思いますし、与党もさかんにPRしていましたが、うまくいっていたが故に特に凄いことだとも思われず、争点にならなかったようにも感じています。
この連載について
今、知りたい注目のニュースの真相から全体像まで、やさしく徹底解説。プロピッカーや有識者による対談、オピニオン寄稿、直撃インタビューなどでお届けする、NewsPicks編集部のオリジナルニュース連載。