UAE探査機、20日打ち上げ 火星に向けH2Aで
コメント
注目のコメント
火星へのローンチウィンドゥが遂に開きましたね!!!アメリカと中国が続きます!!僕が開発に携わったパーサビアランスは7月30日打ち上げ予定です!無事打ち上がってくれ〜。
ホーマン軌道の場合、実はあらゆる惑星でいちばん打ち上げ機会が少ないのが火星。ローンチウィンドゥは26ヶ月に一度しか開きません。ウィンドゥの期間はロケットの余剰能力によります、余剰が大きければ最適ではない軌道でも火星に着けるのでウィンドゥが長くなります。典型的には1ヶ月ほどです。それを逃したら、次は26ヶ月後。だから今回はたった3日の延期ですが、関係者ははらはらしているでしょう。
なぜ火星がいちばん打ち上げ機会が少ないか。走る速さの違う陸上選手がトラックを回り続けていると考えてください。速い選手は遅い選手を抜いていきます。非常にざっくりいうと、抜き去るタイミングが打ち上げ機会です。地球の公転周期は12ヶ月、火星は23ヶ月、すると地球が抜き去るのは26ヶ月に一度になります。一方、例えば木星は公転周期がはるかに遅く10年。なので地球は13ヶ月に一度木星を抜きますね。だから打ち上げ機会は多い。もっとも、外惑星の場合は木星フライパイを使うことが多いですが、そうすると打ち上げ機会は10年に一度とかになります。ボシィャー2号のように木星、土星、天王星、海王星の四つの外惑星をすべてフライバイできる機会は二百数十年に一度になります。
ちなみに本件、H2Aの能力に若干の余剰があるので、日本の大学がピギーバックで火星探査機を飛ばしたかったんだけどUAEがダメって言った、という風の噂を聞きました。先の理由で余剰が減るとローンチウィンドゥが狭まるので、残念ですが仕方ないですね。地球周回ミッションだとほぼ関係なくなるのですが。UAEは宇宙開発に熱心な国である。
石油で豊かになった国だが、永遠に石油産出国として外貨を稼ぎ続けられるわけではないことを理解しており、国内に新しい産業を作るための投資を積極的に行っている。宇宙開発もその一つだ。
日本はUAEとの宇宙開発分野における協力体制をこれまで重視してきている。今回の打上げが成功し、また今後の国際協力発展につながっていきますように。