[フランクフルト 16日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は16日の定例理事会で主要な政策変更を見送り、新型コロナウイルス禍への緊急対策として打ち出した債券購入プログラムの買い取り枠を維持したほか、政策金利も据え置いた。

コロナ向け資産買い取り枠については、全額利用する見通しと確認。物価が2%未満でその近辺とする目標水準に勢いよく向かう見通しがつくまで低金利を維持するとも強調した。

パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い取り枠は1兆3500億ユーロ。期間は最低でも2021年6月末までとし、コロナ危機が収束したと判断されるまで継続する。主要政策金利は0%、中銀預金金利はマイナス0.5%。

ラガルド総裁は理事会後の会見で、経済は4月に底入れした兆候がうかかがる一方、回復の動きは目立っているとはいえ、まだら模様で部分的にとどまっていると指摘。新型コロナ感染の第2波を警戒しながら所得、雇用、消費者需要などを後押ししていかねばならず、見通しは依然として極めて不確実だと述べた。

さらに「リスクバランスは引き続き下向き」であることから「景気回復を下支えしつつ、中期的な物価安定を保護するために、潤沢な金融刺激が依然として必要」との認識を示した。

PEPPについては「景気見通しに大幅な上振れサプライズがない限り、買い取り枠を全額利用するとの基調的な方針に変わりはない」と確認。さらに「PEPPは効果的かつ適切に機能している。われわれはPEPPの変更について議論しておらず、再検討する必要はないとみている」と語った。

週末の欧州連合(EU)首脳会議では7500億ユーロの復興基金について議論されるが、ラガルド総裁は「首脳らが大掛かりな対策に速やかに同意することが重要」とした上で、内訳は融資と比較して返済義務のない補助金の割合が大きくなるよう期待していると述べた。

*内容を追加しました。