[東京 15日 ロイター] - 日銀は14─15日に開いた金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決定した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて打ち出した政策を継続し、企業などの資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとした。当面は感染症の影響を注視し、必要であれば躊躇なく追加緩和を打ち出すとした。

声明と同時に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、経済・物価の見通しはいずれも「おおむね前回の見通しの範囲内」と指摘。経済活動の再開で、日本経済は今年後半から徐々に改善していくとみられるが、世界的に新型コロナの影響が残る中で回復ペースは緩やかなものにとどまるとした。感染症を巡る不確実性が大きいことも改めて強調した。

政策金利の目標は賛成8、反対1で据え置きを決定。短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用する。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債買い入れを行う。片岡剛士委員は長短金利引き下げで緩和を強化することが望ましいとして反対した。今回から決定会合に参加した中村豊明委員は賛成した。

日銀は、全員一致で長期国債以外の資産買い入れ規模を据え置いた。当面、上場株式投資信託(ETF)は年12兆円、不動産投資信託(REIT)は年1800億円の残高増加ペースを上限に積極的に購入する。CP・社債は、21年3月末までの間、それぞれ7.5兆円の残高を上限に追加買い入れを実施する。

日銀は声明で、2%の物価目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続するとあらためて表明。マネタリーベースは、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続するとした。政策金利は「現在の長短金利水準またはそれを下回る水準で推移を想定している」とした。

*内容を追加しました。

(和田崇彦 編集:山川薫、田中志保)