軍の交戦、死者16人に=アルメニアとアゼルバイジャン
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コーカサスというのは歴史的に民族移動の通り道だったこともあり、ともかく政治的に複雑な場所です。
アゼルバイジャンは、ベルシャ化したトルコ系民族のアゼリー人という人達の国ですが、3000万人と言われるアゼリー人のうちアゼルバイジャンに住むのは1000万人あまり。
残りはイラン周辺に在住し、ペルシア人以外では最大の民族勢力になっています。
例えばイランの最高指導者ハメネイ師はペルシャ人ではなくアゼリー人だったりするのです。
当然アゼルバイジャンはトルコやイランと仲がいいのですが、その宿敵とも言えるのが更に以前からコーカサスに住んでいたアルメニア人。
両国はソ連時代にアゼルバイジャン領とされたアルメニア人地区、ナゴルノ=カラバフ自治州を巡って1988年本格的な武力衝突に発展しました。
アルメニアはアゼルバイジャンだけでなく、オスマン帝国時代の虐殺を巡ってトルコとも非常に仲が悪く、それ故に伝統的に外交的にはロシアにすり寄っています。
その甲斐あってかソ連第366自動車化師団の後押しを受けたアルメニアは、独立直後のアゼルバイジャンを圧倒。
6年間の戦争の末、この地域はアルツァフ共和国として事実上アルメニアの保護領として独立。
アゼルバイジャンは国土の14%を喪失しました。
実はこの地域はアゼルバイジャンの独裁者アリエフ一族の故郷。
当然意地でも故郷カラバフ奪還を期すこととなり、以後アゼルバイジャンはトルコ、イランと共にアルメニアを経済封鎖し現在に至ります。
そんな不倶戴天の敵同士の両国はたびたび衝突していますが、昨今は石油パワーで国力を上昇させたアゼルバイジャンがアルメニアの国家予算を上回る軍予算をつぎ込み軍事的には優勢な状態で虎視淡々とナゴルノ=カラバフの奪還を狙っているという状況です。
2016年の大きな衝突があって以来、散発的な戦闘はありましたが、今回は既に死者16人に加え両軍のドローン10機以上が撃墜されたとの報道があります。
アルメニアは最近政治的にロシア離れしており、アゼルバイジャンとしては領土奪還のチャンスと考え一気に攻勢に出てくる可能性もあります。
今後注視した方がいいでしょう。