流量は信濃川の800倍、「大気の川」熊本豪雨時に発生
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「大気の川」という概念は、主に米西海岸にあったもので、冬場に大雨や洪水をもたらすことがあり米国では天気予報でも使われるような言葉です。ただし、これ自体は日本付近では日常よく見られるもので特にどうというようなものではありません。流量も平均で50万トンとされており、別に今回のものが特殊であったわけではありません。確かに流量は信濃川の1000倍にもなるようなものであり、アマゾン川の倍にもなるようなものですが、これは水蒸気の多さに加え風速が速くなることでより多くの流量となることに起因するもので、幅も1000km近くありますから大気の方が陸上の川よりも多くの水を含んで流しているというイメージを持たれたとしたら、すこしちがいます。このような大気の川は頻繁に見られますが、一時的に通過するものであれば、日常よく見られるようなものです。
今回や西日本豪雨については、この場が固定されたことで大気の川がつねに日本上空を流れているようなことになったことが大雨につながっているような状況です。中国の揚子江沿いで問題となっている大雨も同じ原因によるものです。
この状況は、インド洋の海面温度が高くなり、これでベンガル湾などインド洋東部での雲の活動が活発となった結果、地表付近の空気が上空に運ばれるために、上空にあるチベット高気圧の勢力を強めることで、偏西風が蛇行して風下側にある日本付近で上空の低気圧がかかりやすく、梅雨前線=大気の川がずっと固定されるという結果になったと考えられます。
梅雨前線沿いに流れる水蒸気の量が多いであろうことは皆さん想像されていたことと思いますが、それが日本の河川とは比べ物にならないほど多量であるというのが驚かれるポイントでしょうか。今後の詳しい研究により大雨の予想に役立つことがあれば、それはそれで良いことなのではと考えられます。