【超入門】専門家が「見通しを知る」ために使う経済指標とは

2020/7/11
マネーの「なぜ?」をNewsPicks編集部が解き明かす連載企画「MoneyPicks」。今回はビギナー編だ。
金融市場や資産運用に興味はあるけれど、マーケットニュースは専門性が高すぎて理解できない。どこから勉強していけば良いのか分からない。
そんな人々を対象に、押さえるべき経済指標や基礎知識をひも解いていく。
今回のテーマは「日銀短観」。ニュースや新聞報道でよく目にする言葉だが、マーケット関係者が日銀短観の何に注目しているか、ご存知だろうか。
実は、経済の「先を知る」上で重要なヒントが散りばめられた指標で、使いこなせれば、株式投資や資産運用で役立てることができる。
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が解説する。
INDEX
Q.なぜ、日銀短観が話題になるの?
Q.日銀短観の何を見ればいい?

Q.どうすれば、投資に活用できる?
Q.海外にも「短観」はあるの?

Q.なぜ、日銀短観が話題になるの?

永濱 一言で言うと、日本銀行(日銀、日本の中央銀行)の金融政策や市場に大きな影響を与えるものだからです。
日銀本店本館(写真:マリンプレスジャパン/アフロ)
日銀短観(全国企業短期経済観測調査)とは、日銀が全国約1万社の企業の経営者に対して、景気への印象や設備投資、収益計画などについて尋ねるアンケート調査です。
1957(昭和32)年に始まった調査です。3カ月に1回、1年間に計4回実施しています。短観の結果は、日銀のホームページでチェックできます。
直近の短観は7月1日に発表されました。今回は景況感を表す業況判断指数(Diffusion Index、DI)が軒並み悪く、大企業小売を除いたすべての業種の数字が、前回調査の3月よりも悪化しました。新型コロナウイルスの影響が幅広い産業に及んでいることが分かります。
特に大企業製造業はマイナス34(前回マイナス8)で、リーマン危機後の2009年6月以来の低水準でした。
唯一改善した大企業小売は、感染予防や巣ごもり需要などにより、ドラッグストアや食品スーパーなどが好調だったことが影響したのだと思います。
(写真:supawat bursuk/iStock)
投資をする上では、いくつかの経済指標が役に立ちます。
特に、日銀短観は市場関係者にとって日本の経済指標の中で3本の指に入るぐらい重要な指標と言っても過言ではありません実際に、発表後に市場が動くことも多いです。