[ロンドン 9日 ロイター] - 格付け会社S&Pグローバルは9日、新型コロナウイルス危機により、世界の銀行は2021年末までに総額2兆1000億ドルの貸倒損失を抱えるとの見通しを示した。2020年に1兆3000億ドルに達し、昨年の倍以上に膨らむ見込みという。

地域別ではアジア太平洋地域が損失額の約60%を占める一方、特に北米と西欧で損失が急増し、2019年比で倍以上に増大する見通し。

S&Pのアナリストはリポートで「われわれは、格付け上位200行が世界の銀行融資の約3分の2を占めるとみている」とし、「これらの銀行の2020年の貸倒損失は引当金計上前の利益の約75%を吸収する見通しだ。この比率は基本シナリオでは21年に約40%に改善する」と分析した。

アジア太平洋地域は21年末までの損失が1兆2000億ドルに上り、このうち中国が75%を占める見込みという。

中国の銀行システムは、顧客向け融資が米国、日本、ドイツ、英国を合わせた規模に匹敵し、経済への信用供与でより重要な役割を担う傾向がある。

北米では3660億ドル、西欧では2280億ドル、東欧・中東・アフリカ地域は1420億ドル、中南米は1310億ドルの損失が見込まれている。

リポートは「新型コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)がS&Pの基本シナリオでの想定よりも深刻化あるいは長期化した場合、さらなる貸倒損失の拡大と利益減少により、世界の銀行への打撃は避けられないだろう」とした。

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