[東京 10日 ロイター] - 政府は今月後半に公表を予定している7月の月例経済報告で、景気の総括判断を前月より小幅上方修正する方向で検討を始めた。新型コロナウイルス感染拡大による内外需要の縮小で景気は厳しい状況にはあるものの、緊急事態宣言解除を受けた消費の回復や今後期待される輸出・生産の底打ちを反映させる。複数の関係筋が明らかにした。

総括判断の上方修正は6月に続き2カ月連続となる見通し。6月は「新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況にあるが、下げ止まりつつある」としていたが、景況が下げ止まり上向きに転じつつある状態を表現する方向だ。

政府は、8日に公表された景気ウオッチャー調査の現状判断DIが、飲食店の再開などにより前月比で23.3ポイントと過去最大の上昇幅を記録したことなど、消費の回復傾向に着目している。輸出や生産も、中国向けなどの回復で先行きの改善が見込まれており、項目別で「消費」「輸出」「生産」の表現も上方修正を検討している。

もっとも、景気の本格的回復への道のりは険しいとの見方が多い。遅行指標である雇用が十分に回復しない場合は消費の改善を下押ししかねず、夏以降が日本経済の正念場となるとみられる。九州地方などを襲った豪雨による被害が消費などに与える影響も不透明要因だ。

(竹本能文)