【サンマーク出版】「世界的ベストセラー」を生みだす極意

2020/7/12
この25年間、「出版不況」をものともせずに、ミリオン8冊を含むベストセラーを連発してきたサンマーク出版。
その経営哲学をひもとく『思うことから、すべては始まる』(サンマーク出版)を上梓したばかりの植木宣隆社長(「隆」は旧字)に、「売れるものづくり」のエッセンスを聞く本連載。
最終話では、同社の本領である「ベストセラーをさらに売り伸ばす極意」について聞いた。

「初速を出すための仕掛け」は不要

──前回、「最高の仕事と良い人生」が両立できる会社を実現するには、高収益を達成する仕組みづくりが必要だという話がありました。そのためのキーワードのひとつが「ロングセラー」でしたね。
植木 私が長年、心がけてきたことのひとつが「累計部数を伸ばすことに命がけになる」です。
まったくゼロから10万部の本をつくるのも、100万部の本が110万部に伸びるのも、どちらも同じ10万部です。前者を達成するのは容易なことではありませんが、後者は工夫次第でなんとかなるものです。
意外と盲点なのですが、新しいヒットを出すのと同じくらい、すでにヒットしているものをさらに「売り伸ばす」ための方策を編みだすことが重要だと考えています。
(Rafal Olkis/Getty Images)
──出版業界では「初速」を非常に気にしますが、ロングセラーを目指す場合は、むしろ途中からのギアアップで勝負するほうに力点を置く感じなのでしょうか?
そういう側面もありますね。
もちろん、初速は大事です。初速には、その本が持っている「地力」を測る意味もあるので、われわれとしても注視しています。
ただ、「初速を出すためにいろいろ策を講じる」のは本末転倒ではないでしょうか。
Amazonに自演でレビューを入れたり、書店で作為的にランキングに入れてもらったりしても、先につながった試しはほとんどないと思います。読者とは、もっと賢明なものです。

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