[上海/北京 4日 ロイター] - 中国農業農村省は4日、同国の研究チームが米学術誌への掲載論文でヒトへの感染を指摘した豚インフルエンザウイルス「G4」について、新型のウイルスではなく、ヒトや動物に容易に感染したり、病気を引き起こしたりはしないとの見解を示した。

中国の研究チームはこのほど「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された論文で、G4がヒトへの感染力を強めており、パンデミック(世界的大流行)ウイルス」になる可能性があると警告した。

しかし、中国農業省は4日の声明で、論文がメディアで「誇張され、事実と異なる」解釈がされていると主張。この研究は標本数があまりに少ないため全体像を反映しているとは言えず、G4が豚の間で支配的なウイルスになっているという十分な証拠も示されていないなどと批判した。

同省は、G4ウイルスによる養豚産業や公衆衛生への影響に関するセミナーを開き、論文の著者のほか国内の獣医やウイルス対策専門家らの意見を聞いた結果、こうした結論に至ったと説明した。

同省の声明によると、セミナーの参加者はG4が新しいウイルスではないとの見方に同意した。同省はまた、世界保健機関(WHO)の高官を引用して、WHOと中国の関連機関は2011年からG4ウイルスを継続的に監視していると強調した。

声明ではさらに、論文著者もG4ウイルスがヒトの体内で効率的に複製されて病気を引き起こすわけではないとの見方を示したとしている。