[東京 3日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3日、2020年1―3月期の赤字運用額が17兆7072億円だったと発表した。収益率はマイナス10.71%と5四半期ぶりの赤字運用となり、四半期ベースでは過去最大の損失となった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う市場変動が影響した。

主要資産のうち株式運用が低調で、赤字運用額は国内株式が7兆4185億円、外国株式は10兆2231億円となった。国内債券は1845億円の赤字、外国債券は1153億円の黒字だった。

開示資料に基づく推計では、GPIFの国内債券の売り越しは4兆9075億円となった。一方、国内株式を6034億円、外国債券を3兆7016億円、外国株式を5760億円、それぞれ買い越した。全資産の運用比率を25%とする新たな運用指針(基本ポートフォリオ)の決定前に、資産の入れ替えを進めたためとみられる。

GPIFによると、3月末の主要資産比率は国内債券23.87%、国内株式22.87%、外国債券23.42%(うち為替ヘッジ付きが1.2%)、外国株式23.9%。年度ベースの収益額はマイナス8兆2831億円で、3月末の運用資産額は150兆6332億円となった。

収益状況の一時的な悪化について、宮園雅敬理事長は都内で記者団に「大変重く受け止めている。長期投資家としてコロナの中長期的影響を見極めていく必要がある」と述べた。

*内容を追加しました。

(山口貴也、梅川崇 編集:田中志保)