2020/8/14

【出前館 会長】CCCのカリスマ創業者に「女増田」と呼ばれて

中村 利江
出前館 代表取締役会長
新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が続き、フードデリバリーサービスが急伸している。業界のトップランナーが出前館だ。2020年5月の第3Qまでのオーダー数は2,605万件(前年同期比125%)、加盟店数2万4000店(同125%)、直近1年以内に利用したアクティブユーザー数も370万人(同128%)と、利用が拡大している。

成功へ導いたのが、中村利江会長だ。リクルートで営業職としてバリバリ働き、再就職したハークスレイでも抜群の企画力で、女性初の管理職に。そして2億円の借金ごと創業者から出前館を引き継ぎ、見事な経営手腕で上場企業へと押し上げた。最近も機を捉えた先行投資や、LINEとの提携強化などで注目を集める。

カルチュア・コンビニエンス・クラブのカリスマ創業者の増田宗昭氏から「女増田」と評された中村会長が抱いてきた経営哲学とは。(全7回)

CCC増田さんに提案

私は2009年11月、「出前館」を運営する夢の街創造委員会の会長に就任し、その翌月にはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)のCHRO(最高人材責任者)となりました。
これには、こんな経緯がありました。
中村利江(なかむら・りえ)/出前館 会長
1964年富山県生まれ。関西大学在学中、女子大生によるモーニングコール事業を立ち上げ話題に。88年、学生時代からアルバイトをしていたリクルートに入社。東京本社広告営業部に配属。入社1年目にしてトップセールスとなり年間MVP賞を受賞。90年、出産・育児のため退社。その後インテリアコーディネーターを経て、98年「ほっかほっか亭」の西日本地区本部のハークスレイに入社。2001年に独立し、キトプランニング設立。同年、夢の街創造委員会(現出前館)取締役、02年に社長就任。09年から会長。一時カルチュア・コンビニエンス・クラブに転出するも、12年に社長に復帰。20年3月LINEグループと資本業務提携を締結。同年6月から現職。
主要株主となっていただいたインデックスが07年に経営危機に陥り、落合(正美)さんから株式売却の申し出がありました。
いったんヤフーさんのその分を持っていただき、ヤフーさんの比率が40%まで上昇していました。
比率としては中途半端でしたので、資本政策を考えているときに、頭に浮かんだのがCCCでした。
1枚のポイントカード(Tカード)で、提携先でのポイントの貯蓄、利用ができるサービス、Tポイントが絶好調というタイミングでした。これはいずれネットとリアルをつなぐO2Oビジネスになると直感したのです。
この時点では、ネット企業でTポイントと提携している先はなかったので、「出前館をネット第1弾の企業にしてください。将来、O2Oビジネスにもなるし、面白いと思います」という提案書を勝手に作成して、持っていったら、増田(宗昭)さんと大いに話が盛り上がりました。
増田宗昭氏(写真:つのだよしお/アフロ)
そのとき、「何か困っていることはあるのか」と聞かれたので、「株式を30%ぐらい持ってもらえるとすごく助かります」と言ったら、「では30%持ちますよ」と言ってくださった。
経営側からすると、30%はすごく都合がいい割合です。いいところに着地したとルンルンと喜びました。

「手伝いにきてくれないか」