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〇エネルギー基本計画や長期エネルギー需給見通しに書かれたことの実効性を持たせようとしているものと受け止めている。
わが国は電力システム改革を進めてきて、発電事業も自由化されていますが、一方で低炭素化は大きな流れであり社会の要請。政府として示した長期ビジョンの実現に向けて取り組む姿勢を示すものだろうと考える。
〇なお、報道では高効率の石炭火力の活用については否定していない。今建設中の高効率石炭火力や天然ガスなど、少しでもCO2排出量が少ない技術を活用するという方針だと理解。
〇発電量として9割減らすということと、設備として9割減らすということは意味というかインパクトが全く異なる。設備を9割減らしてしまえば(休廃止してしまえば)いざなにか災害や大規模な設備故障が起きたときに国民生活に大打撃を与えかねない。
例えば北海道では泊原子力発電所が長期停止しており、この状態のまま苫東厚真火力発電所を廃止するということになればリスクが相当高まることは想像に難くない。
但し、石炭火力の発電量を減少させていき、そのままにしておけば当然石炭火力を保有している事業者はそれを休廃止したいと思うのが当然。発電事業は自由化されており、退出の自由も事業者にはある。
例えばドイツなどで行ったようにその発電設備を維持することに対して政府が対価を払うといったことも検討が必要だろう。国民からすれば発電していないのに対価を払うというのは意味が分かりづらいと思うが、安定供給上の保険料のようなものということになるだろう。
〇石炭火力を天然ガス火力で代替させるということになれば、燃料コストの上昇および(天然ガスは石油ほどではないにしても)中東依存度は高まるので、その点はデメリットとして考えておかねばならない。
〇また、自治体にとっては雇用や税収が大きな影響を受ける。サイトごと廃止というようなことになる場合には、自治体の経済に与える影響も考慮する必要。
〇また、天然ガスで代替しても石炭から比べれば少ないというだけで、ゼロになる訳では無い。今後さらに削減を進めるというのは更なる課題として、更なる再エネの拡大や原子力の利用が必要。
国内100基程度の発電所を減らす際、その分を補うためにどうするかについては、本記事には記載がありませんが、別の報道では原発と再エネを増やすという記述があります。
19年度版のエネルギー白書において、原発の新増設や建て替えについての言及がなかった中で、今回の石炭火力発電の段階停止により、再生可能エネルギーへの期待や需要はさらに高まると思われますが、2030年度というすぐに来る未来を想定すると、早々に具体的な計画を打ち出す必要があると思います。
また、「非効率」でない石炭火力発電所は継続傾向、石炭火力発電の輸出支援も継続の見通しということで、日本は国際社会からのプレッシャーをまだまだ受け続けることになりそうです。
高効率のものでも単位火力に対しての二酸化炭素発生量は、ガス火力より大きい。世界的にCO2規制や、それに伴うファイナンシングが厳しくなってきている。一方でエネルギーから見ると、石炭は様々なところで採れ、また常温で固体なので、持ち運びがしやすい。
日本についてはこの方針のもとで、では減る部分をどういうエネルギーミックスにして、またそれが調達国として分散できるのか。
<追記>Takahashiさん、Watsonさんのコメントが本当に有難い!総論はしっていても、個別の政策・数値にまで詳しくなかった中で、既存の方針との比較や、そこからの示唆が数値とともにわかる。<追記終>
CO2削減の観点からは、老朽化した石炭火力発電所の整理は必要でしょうが、CO2低減技術の開発や運転におけるエネルギー効率の向上などで、石炭火力の可能性を開いていただきたいと思います。災害の多い日本では、安定的なエネルギーインフラとしての石炭火力発電所の可能性はまだ残っているのではないかと思います。
石炭火力発電所においてはCCSに代表されるCO2の地下貯留の研究実証、バイオマス燃料の混焼など、環境負荷を削減するための試みが多数行われていたことを申し上げたい。何も手をこまねいていた訳ではないですし、誰もが賛成する再生可能エネルギーにだって弱点はある。
とはいえ、時代の境目にいることは間違いないと思います。