[ワシントン 1日 ロイター] - 企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが1日発表した6月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数が236万9000人増加した。予想の300万人増には届かず、新型コロナウイルス禍からの回復には時間がかかることが示唆された。

5月分は当初発表の276万人減から306万5000人増に上方修正された。ただ人口の多いカリフォルニア州、フロリダ州、テキサス州などで感染拡大が継続し、感染抑制策の一部が再導入される事態となっていることから、今後、一段のレイオフが実施される可能性がある。

6月の雇用増は、感染拡大抑制に向け3月中旬にロックダウン(都市封鎖)措置などが導入された際にレイオフされた従業員の再雇用が進んだことが背景。レストランやバーの営業再開を受け、娯楽・接客業の雇用が増加したほか、ヘルスケア業、建設業も増加した。ただ製造業の伸びは鈍かったほか、鉱業は減少した。

ムーディーズ・アナリティックスのチーフ・エコノミスト、マーク・ザンディ氏は「雇用の回復には勇気づけられるが、営業を再開した企業による再雇用のみによるものだったことは懸念材料だ。大規模なレイオフは継続しており、営業再開に伴う再雇用の動きはいずれは枯渇し、雇用の伸びは弱体化する恐れがある」と述べた。

ADP全米雇用報告とは別に米雇用コンサルティング会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスがこの日に発表した統計によると、6月のレイオフ件数は17万0219人。前月比では57%減となるが、前年比では306%増となる。

チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのシニアバイスプレジデント、アンドリュー・チャレンジャー氏は「コロナ禍で当初は直接的な影響を受けていなかった企業にも景気後退(リセッション)の影響が広がり始めている」と指摘。「これに加え、営業を再開したものの、コロナ禍前の水準と比べるとわずかな顧客しか戻ってこなかったために再度営業を停止する企業が出ているほか、破産に追い込まれる有名企業も出ている」と述べた。

チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、第2・四半期のレイオフ件数は123万8000人と、前期から257%増加した。

労働省が2日に発表する6月の雇用統計では、民間部門雇用者数は290万人増、非農業部門雇用者数は300万人増と予想されている。失業率の予想は12.3%。5月は13.3%だった。