[香港 1日 ロイター] - 香港は1日、英国から中国に返還されて23周年を迎えた。香港での反政府的行動を取り締まる「香港国家安全維持法」が施行された数時間後の1日朝、香港当局は全域で治安対策を敷いた。

香港国家安全維持法は、国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託の4種類の活動を犯罪行為と定め、最高刑として終身刑を科す。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は返還23年を記念する式典で、新法は返還以降で最も重要な出来事だと指摘。

「香港における国家安全保障と領土保全、安全な制度の保護を盤石にするための歴史的な一歩だ」と強調。「社会の安定を取り戻すための必然的で迅速な決断でもある」とした。

また、中国政府の香港出先機関である香港連絡弁公室のトップ、駱恵寧主任は式典で、同法は香港市民の「共通の願い」だと述べた。

中国や香港の当局者らは同法について、一部の「トラブルメーカー」を標的にしたもので、権利や自由、投資家の利益に影響はないと繰り返し述べている。

しかし、同法の制定により、「一国二制度」の下で返還後50年間保障された高度な自治が損なわれるとの懸念が高まっている。

Tellimer(ドバイ)の株式調査部門責任者は「安全保障環境の厳格化に向けた動きは長年続いてきた。以前と何が違うかというと米中関係がかなり悪化しており、香港の金融ハブとしての地位を脅かす口実として利用される可能性がある」と述べた。

台湾当局は1日、香港市民を受け入れる窓口を開設した。

香港では、約10人が新法に抗議する集会を行った。

香港当局は、新型コロナウイルス対策で50人を超える集会が禁止されていることを理由に、返還記念日の7月1日に例年行われている集会を禁じた。だが、多くの活動家は禁止令に反して、同日午後にデモ行進を行う意向を示している。

民主活動家の梁国雄氏は「毎年デモ行進している。これは続ける」と述べた。

現地メディアによると、1日のデモを阻止するため、最大4000人の警官が動員されるという。

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