[東京 30日 ロイター] - ジャパンディスプレイ(JDI)<6740.T>は30日、21年3月期の売上高が前年比15─20%減になりそうだと発表した。新型コロナウイルスの影響によるスマートフォンや自動車向け需要の減少を見込んでいる。

生産面への新型コロナの影響は一部製品に残るものの、ほぼ回復するとみている。構造改革の効果が通期で生じることで、固定費は前年比約200億円低下する。

4―6月の売上高は前年同期比6.0―1.6%減の850億─890億円を見込み、営業損益は70億円─90億円の赤字を予想する。菊岡稔社長兼最高経営責任者(CEO)はオンライン会見で「7―9月期以降、コロナの影響をできるだけ少なくしていきたい」と述べた。3月に発表した追加資金調達の計画については「最終協議中」としている。

設備投資額は139億円(前年は161億円)、研究開発費は98億円(同103億円)の予想。菊岡社長は「成長のための資金は使う。アセットライトでR&Dを強化する」と述べた。白山工場の売却交渉は最終段階と説明した。

JDIは同日、ヘルスケア分野への進出を検討することを明らかにした。菊岡社長は「ようやく債務超過を脱した。まだガバナンス、収益力の課題はあるが、新たな収益機会も作っていきたい」と述べた。スコット・キャロン会長は「ディスプレイは現代社会の基盤技術だが、収益的にはレッドオーシャン。ブルーオーシャンを開拓しないといけない。十分に応用できる技術がある」と述べた。

生体関連センサーや非接触操作に対応したディスプレイに技術を応用することや、ゲノム解析情報と生体センシングによるデータを組み合わせたリアルタイムでの健康管理など新サービスの展開などを視野に入れる。

2020年1―3月期の純損益は94億円の黒字だった。前年同期は967億円の赤字、19年10─12月期は67億円の赤字だった。四半期ベースでの黒字は13四半期ぶり。JOLED株式の譲渡による特別利益を計上し、下期でも27億円の最終黒字を確保した。

スマホ向けディスプレイの需要減少や新型コロナの影響で売上高が減少したが、構造改革の効果が下期からフルに生じ、営業損益は前年同期から138億円改善して59億円の赤字だった。菊岡社長は、コロナの影響がなければ営業利益は確保できたとし「まだまだ道半ばだが、上期に比べて損益分岐点が下がり、基礎収益力的には改善された」と述べた。

20年3月期の通期では、営業損益は売上高減少を受けて385億円の赤字(前年は272億円の赤字)だった。持分法による投資損失や白山工場などの固定資産の減損、構造改革費用などを計上、JOLED株譲渡による特別益を計上したが、純損益は1014億円の赤字となった。最終赤字は6期連続。菊岡社長は「(20年3月期の)上期と下期の姿、収益構造は全く違う」と述べた。

*内容を追加しました。

(平田紀之)