[東京 30日 ロイター] - 経済産業省が30日発表した5月鉱工業生産指数速報は前月比8.4%低下となった。ロイターの事前予測調査では同5.6%低下と予想されており、これを下回った。

前月比マイナスは4カ月連続で、水準は2015年基準では最低を更新した。全15業種が減少し、特に自動車、液晶製造装置など機械、鉄鋼が新型コロナウイルス感染拡大の影響による受注減で減少。4月よりも幅広い業種で減産が進んだ。

生産予測指数は6月が前月比5.7%上昇、7月が同9.2%上昇となった。経済産業省は生産の基調判断を「急速に低下している」として据え置いた。

自動車の大幅な生産調整が「川上の広い業種に波及している」(経産省幹部)という。自動車業界の生産調整の程度は6月、7月と縮小する計画となっているため、企業側は今後の生産が緩やかに回復するとみている格好だ。

<企業計画上振れ気味、底打ったか不明>

経産省幹部によると、最近企業は新型コロナウイルスによる影響を精緻に織り込んでおらず生産計画が「必ずしも保守的でない」という。実際5月の生産実績は計画の2倍もマイナス幅が拡大している。このため、経産省幹部は6月の生産も前月比マイナスにとどまる可能性があるとしており、「5月に底を打ったか分からない」と話している。6月の生産回復には輸出の回復が必要という。

過去のデータを2015年基準に試算すると、5月実績は2009年3月以来の低水準。リーマン・ショック後の局面で最低水準だった2009年2月の水準は上回っている試算だという。

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(竹本能文 編集:青山敦子)